一体どのくらいの違いがあるのか、検証してみる。
電動アシスト自転車は各メーカーが非公開としている情報が多く、OEMも活発に行われているため、簡単に比較するというのが難しいが、国内主力メーカーといわれている3社について項目別に比較を行った。
2012年現在、国内メーカーでは
・パナソニック/Panasonic
・ヤマハ/YAMAHA
・ブリヂストン/BRIDGESTONE
以上の3社が主力となっており、4位メーカーだったサンヨーはパナソニックに吸収され、事実上ブランドは消滅している。
他にも様々なメーカーがあるように思えるが、上記3メーカーだけで国内シェア90%以上を占めていると言われており、購入後のアフターサービスを考えれば、あえてマイナーメーカーを選択するメリットは一般人にはほとんど無いだろう。
ちなみにシェア率はパナソニックが全体の半分強、その残りをヤマハ、ブリヂストン分け合うかたちとなっている。
またヤマハとブリヂストンに関しては相互補完の関係にあり、ユニットをヤマハが、車体をブリヂストンが提供することにより成り立っている。
つまり国内での電動アシスト自転車を性能で見た場合の市場というのは「パナソニック」vs「ヤマハ+ブリヂストン」の二大巨頭で争われていることになる。
それでは、どのメーカーの商品が一番性能が優れているのか?というのが購入を考えている方々の共通して知りたいことだとは思うが、最初に結論を言ってしまえば、“ほとんど同じ”だと考えていいほどに商品レベルは拮抗している。
情報サイトや販売店の説明として良く聞くのが「走行距離重視ならパナソニック」「アシストパワー重視ならヤマハorブリヂストン」というキャラクター付けだが、これも全てが当てはまる訳ではない。
おそらくあまりに違いが少ないため、購入ユーザーの迷いを払拭するために販売店で説明マニュアルとして自然発生したものが世間の認識となったものと推測される。
もちろんこのキャラクター付けには裏付けがあり、電池部門が強いパナソニックはバッテリーの大型化に強みがあり、電動アシスト自転車の元祖であるヤマハはアシスト制御に関する特許を多く保持しており、S.P.E.C.3などの味付けに強みを持っているということから、強いてあげるなら以上のようなキャラクターで認識されているものだと思える。
しかしヤマハorブリヂストン製品よりアシストが強いパナソニック製品もあれば、パナソニック製品より走行距離の長いヤマハorブリヂストン製品ももちろん存在するため、単純にこれだけを判断材料にするのは安易過ぎると言える。
では比較項目をさらに細分化していくとどうなるか。
電動アシスト自転車メーカーの歴史と背景
・パナソニック
パナソニックというと家電メーカーというイメージが強いが、自転車部門は独立しており、電動アシスト自転車に関しては子会社である「パナソニック サイクルテック」が製造販売を行っている。
元々60年以上の歴史を誇る老舗自転車メーカーであり、国内第二位のれっきとした自転車メーカーのため、自転車に関する開発力は非常に高いレベルにあり、ユニットやバッテリー技術に関してもグループ内で全てまかなえる強みがある。
電気で動く乗り物としては1980年には「電気自転車」を発売しており、「電動+自転車」という商品の開発には30年以上前から意欲的であったことが想像できる。
・ヤマハ
世界で最初に電動アシスト自転車の発売を行った先駆者的メーカーであり、「PAS」という商品名は電動アシスト自転車の代名詞とまでなっている。
他のメーカーが親会社のブランドを使用して子会社が製造販売を行っているのに比べ、ヤマハ自体が乗り物メーカーであることから主力商品として電動アシスト自転車がラインナップされており、力の入れ方が他社を圧倒していると言える。
ヤマハの功績としては、自転車とバイクの間に「電動アシスト自転車」というジャンルを生み出し、更に法律上の区分を「自転車」に位置づけたことにより、今日の発展があると言っても良い。
・ブリヂストン
国内最大の自転車メーカーであり、開発、製造、販売に関して国内で大きな力を持つ。
残念ながら、親会社がタイヤメーカーであるため、ユニットとバッテリー部分に関するノウハウが無く、心臓部の供給をヤマハに頼るしかない状態ではあるが、それを差し引いても自前の高い自転車の開発力でヤマハ以上の高付加価値商品を展開している。
「PAS」発売時より電動アシスト自転車のフレームやパーツの開発に携わっており、また国内に強力な販売網を持つことから、ヤマハに迫る販売台数を誇っている。
電動アシスト自転車メーカーの販売網比較(★はオススメ度)
・パナソニック ★★★★☆
自転車販売店、家電量販店に強く、一部の電気店でも扱っていることから全国どこでも購入できる。最近ではバイク店やホームセンター、またレンタサイクルでも良く見かける。
・ヤマハ ★★★★☆
バイク販売店に強力なパイプを持っているが、当初より自転車販売店に対して積極的にセールス活動を行っていたこともあり、全国に販路は広がっており、最近では量販店でも積極的に販売を行っている。
・ブリヂストン ★★★☆☆
自転車販売店との繋がりが非常に強く、ほとんどの自転車店で購入できる。
取扱店舗数は国内最大になると思われるが、家電量販店やバイク販売店ではあまり見かけない。
まとめ
近所で購入することを考えた場合、パナソニック、ヤマハが優位に見えるが、自転車そのもののアフターメンテナンスを考えれば、自転車販売店での購入がオススメと言える。
電動アシスト自転車メーカーのパワーユニット比較(★はオススメ度)
・パナソニック ★★★★☆
ユニットは自社開発で国内製造にこだわっていると言われている。
センタータイプ以外にもサンヨーの吸収でフロントハブタイプでラインナップを拡大。
過去数年間に渡り、大きな故障事例は聞いたことがなく、海外での評判も頷ける。
・ヤマハ ★★★★★
バイクメーカーらしくユニット開発には非常に力を注いでおり、初代PASから様々なタイプを世に送り出している。
試行錯誤の歴史はあるが、現在のユニットは完成度が高く、他社はヤマハの模倣から始まったと言っても過言ではない。
・ブリヂストン ★★★☆☆
ヤマハのOEMを受けているため、ほぼ同性能と考えて問題ないが、主導権を持つヤマハが何らかの差別化を行っている可能性も無いとは言い切れない。
リリースに関しては当然ヤマハの後発となるため、ヤマハの型遅れが現行商品となっている場合もある。
まとめ
自社で開発しているパナソニックとヤマハが圧倒的に優位だが、開発の歴史の長いヤマハがユニット制御に関する技術や特許を多く持っていると思わる。
S.P.E.C.3などの最新機能はヤマハが一歩先を行っている。
※オススメ度についてはフィクションサイクルの主観によるものです。なんら技術的資料に基づくものではありません。
電動アシスト自転車メーカーの比較 【後編】に続く
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2012/07/dendou-hikaku02.html
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