シマノといえば、今や世界最大の自転車パーツメーカーであるが、そのブランドイメージは決して「高ステータス」というものではなかった。
ちょうど自動車に例えるなら「トヨタ」にも似たところがあり、海外高級ブランドメーカーと比較すれば、性能や価格のバランスは非常に優れているが、ユーザーの所有欲を満たすには、少し物足りないものであった。
ところが最近見かけた自転車のチェーンステーには、あきらかに違和感を感じる「SHIMANO」のロゴが付いていたのである。
しかもこの自転車は「イタリアの某超高級スポーツカー」のブランドを冠している正規のライセンス物で、確かに一部でシマノ製パーツを使用してはいるものの、あえてシマノのニセモノロゴを貼り付ける必要はどこにあったのだろうと疑問に思う。
これは自転車業界の人間の目線で考えてしまうから、このような疑問を持つわけで、特に何の知識を持たないユーザーであれば、「イタリア高級ブランド×信頼の日本製パーツ」という商品価値として捉えることに無理はない。
普通であれば自転車店としては毛嫌いするタイプの商品であるが、この自転車は通販向けのため、自転車に詳しい人間を一切通過せずに市場に出回ることができる。
よく聞く話で、「自転車屋さんに通販で購入した自転車を修理や整備に持ち込んだところ断られた」などということがあるが、これは自転車店の自衛手段であり、得体の知れぬ自転車を整備して責任を押し付けられるのは勘弁してほしいという意思の表れでもあるのだ。
残念なことに今の日本人はとにかくブランドイメージに左右されやすい。
この自転車もネット上では定価約5万円、実売価格3万円前後ということで販売されているが、実際そこまでの価値があるかは微妙である。
しかしこの商品の上手いところは、ブランドイメージで高付加価値を作り上げたことにあると思う。
ユーザー目線で価値を考えるなら・・・
5000万円のクルマを作るイタリア超高級ブランドメーカーの自転車が3万円で買える
価値を知っている自転車店の目線で考えるなら・・・
2万円以下の価値しかない自転車にブランドのシールだけ貼って2倍の値段で販売している
商品価値は購入者が判断すれば良いことなのだが、後になってから事実を知って落胆するという人も多く見てきた。
これは何もユーザーが悪いだけでなく、販売元も罪がないわけではない。
「ヨーロッパ一流メーカー、クルマで培ったテクノロジー」などといって商品とは関係のないキャッチフレーズは購入者の判断を鈍らせることにもなる。
参考
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1114818426
これからの時代は、ブランドと商品価値を切り離して考える必要があるのかもしれない。
一番間違いのない判断基準になるのはやはり「販売価格」だろう。
正規のシマノロゴ
余談だが、「ランボルギーニ」ブランドの自転車を良く見ると「Tonino Lamborghini」とロゴに書いてある。
トニーノ・ランボルギーニ wikipedia
トニーノ・ランボルギーニ・グループの代表者であり、「トニーノ・ランボルギーニ」ブランドのバッグや腕時計、靴などの服飾品、マウンテンバイクなどをプロデュースしている。ブランドの紋章には、父が創業したランボルギーニと同じ猛牛が描かれている。
そもそもクルマを製造しているランボルギーニとは直接関係のないブランド名であったことが分かる。
0 件のコメント:
コメントを投稿