最初は高齢者向けのイメージが強かったが、徐々に市民権を獲得していき、ついにもっとも縁遠いスポーツの世界でも脚光を浴びつつある。
スポーツなのにアシスト?というと拒否反応を起こす人も多いだろう。
特に日本人はこの点で固定観念が強く、なかなか受け入れられないことが予想される。
しかし海外に目を向ければ、“楽しめれば何でも良い”といった思考が強く、すでに様々な電動アシストスポーツ自転車がリリースされている。
そもそも日本でスポーツ車が普及しない理由として、ママチャリ文化が根強いことが挙げられる。
自転車マニアでもない一般人に、「自転車を想像してください」と言ってみたら、おそらく90%以上が“ママチャリ”を思い浮かべるだろう。
そしてその用途はといえば、「ちょっとそこまでの移動手段」が大半だろう。
これは自転車に限らず、日本人の文化特性なので仕方ないが、モータースポーツにしても何にしても、欧米諸国に比べて「それ“そのもの”を楽しむ」といった意識はそもそも低いのである。
では、電動アシストスポーツバイク(※以下スポーツEBと略す)はどのように進化するのかを予想してみる。
現在すでに日本の各社からスポーツEBが発売されており、その台数も確実に増えている。
パナソニック ジェッター
パナソニック ハリヤ
ヤマハ ブレイス
ブリヂストン リアルストリーム
これなら未来は明るい・・・と思うかもしれない。
しかしフィクションサイクルは今回もう少し突っ込んで話を進めてみたい。
上に挙げた車種は、各メーカーともスポーツ使用に耐えられるようには考えていないのだ。
つまり
スポーツ =×
スポーティー =○
カタチこそスポーツ車だが、ユニットやバッテリーはママチャリ系からの流用がほぼ100%
それらしいフレームにそれらしいパーツ構成というだけで、カテゴライズ的には「移動手段」の枠からなんら抜け出してはいないのだ。
古い話になるが、もう20年以上前に日産からS13シルビアが発売されたとき、「これはスポーツカーではなくデートカー」だと言っていた専門家がいた。
S13シルビアは大ヒットしたが、もしこれが本格スポーツカーだったのならば、そこまで売れることはなかっただろう。
スポーツEBも、もし本格レース機材のような仕上がりだったのなら、もちろん脚光を浴びることなくフェードアウトすることが容易に予想できる。
そう考えれば、企業の選択は正しかったことになる。
しかしこれに納得がいかないのが、本格的に自転車にのめりこんでいる人々だろう。
こういった「自転車に乗っているだけで脳内麻薬が出まくりの人」は日本国内には少ない。
このニッチな市場を支えてくれるのはいつでも欧米からの影響だ。
あのランサーEVOやインプレッサWRXだって、ヨーロッパでのWRCの活躍がなければ、そもそも販売すらされていないといって過言ではない。
この逆輸入文化のルールに従えば、スポーツEBも日本国内でさらに発展する可能性はあるのではないだろうか?
それでは今後のスポーツEBの進化を過去から予想してみる。
1999年
ヤマハ「ケイリンPAS」
これはケイリンの先導を行うものだが、当時はバイクが主流であり、排気ガスの問題もあって導入されたもの。
フィクションサイクルが知る限り、これが最古のスポーツEBではないかと思われる。
出力を上げるため、市販PASのモーターユニットがV型に2個搭載されているのが分かる。
2001年
ヤマハ「YAMAHA Racer01」
これはショーモデルであり、詳細は不明ながら、内容的にはケイリンPASそのものだと思われる。
シドニーオリンピックでケイリンPASが採用されたため、かなり勢いがあったのだろう。
パナソニック「ライアバードEB(EHB67)」
おそらく市販モデルでは第一号のスポーツEB
よく見ればフレームは現在のハリヤに酷似しており、すでにベースとしては完成されている。
このヨーロピアンバイク的な雰囲気はヨーロッパ進出を見据えてのことだったのかは不明だが、日本人にはあまり受けなったようで、早々に消滅した。
2008年
パナソニック 「チタンフラットロードEB(BE-EPV43/48/53)」
スポーツEB初のフルチタンフレームを採用した本格スポーツモデル市販車の第一号。もともとパナソニックはチタンフレームを得意としていたが、まさか電動アシスト自転車を作るとは思わなかったというのが正直な印象。
当時の市場価格を遥かに上回る585,000円(税込)~という脅威のプライス。
2009年
三洋電機「エネループバイク CY-SPK227」
スポーツEB初のフルカーボンモノコックフレームを採用したエネループバイク
はっきり言って現車は一回しか見たことがないレアバイク。
三洋ブランドが消滅したこともあり、短命に終わる。
2011年
フォード「E-Bike」
コンセプトモデルなのでここで比較するのもなんだが、この自転車は恐ろしいほどに完成度が高く、ほぼ市販パーツで構成されているため、すぐにでも販売可能なのではとも思える。
フランクフルトモーターショー2011で発表され、スペックも現実的。
気になるユニットは三洋と同じフロントハブ内蔵方式。
2012年
SPECIALIZED 「TURBO」
言わずとも知れたスポーツEBの大本命。
スペックもさることながら、そのトータルバランスの完成度の高さはさすがスペシャと、わざわざ欧州まで乗りに行った知り合いも鼻息荒く語るほど。
そのバケモノすぎる出力のせいで、日本国内で走れないどころか、プロライダーですらビビリ上がるという代物。
そしてこの自転車のもう一つの功績として大きいのは、コアな自転車層にスポーツEBを認識させたという点。
それまではレーパンにクリップペダルでインプレなど聞いたこともなかったが、ネット上にはいくつか記事が上がっている。
http://bikejournal.jp/main/?p=5493
2012
コラテック 「E-29er Cross 2012」
コラテック 「E-Bow 29er」
現在、電動アシストユニットのサプライヤーとして有名なのはBOSCHをはじめとするドイツ勢と言われているが、当然ドイツには自転車メーカーもあるわけで。
その代表がコラテックだ。
なんといつの間にかに市販されており、日本語に翻訳された「Over Cycle」のサイトでは価格まで表示されている。
気になる価格は405,300~1,372,739円と初の100万円オーバー。
2013
BWW 「Cruise e-bike」
自動車メーカーやバイクメーカーがスポーツEBにちょくちょく参入してくるということは、それだけ未来のある乗り物だということの表れだろう。
以前アウディがぶっ飛んだe-bikeを発表したが、BMWは市販車という事。
すぐに見て分かるが、こちらももちろんBOSCHユニットを搭載し、内容的にはコラテックと同様。
後付したような野暮ったさもなければ、奇をてらったデザインでもなく、まさにシンプルイズベストな商品。
2014
GIANT 「Talon E+ E-Bikes 2014」
先日ニュースになっていたが、ジャイアントも2014年からヤマハのユニットを採用するとのこと。
構造的にはまさにボッシュそのもの。
おそらくこのBOSCHやヤマハのユニットタイプがこれからの主流となるだろう。
シマノなどのパーツサプライヤーが強いのは、規格を掌握しているからであり、もし電動ユニットのマウントが業界で統一された日には、自転車メーカーはこぞって同じ規格のフレームを作り出し、ユニットメーカーの一人勝ち状態になることは目に見えている。
後半では、なぜこのユニットタイプがすぐれているのかを分析してみたいと思う。
未来の「スポーツ電動アシスト自転車」はこうなる予想 【後半】
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2013/09/future-forecast-of-electric-bicycle2.html
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