2011年10月2日

旅する自転車の作りかた 大槻正哉 (著)

旅する自転車の作りかた (シクロツーリストブック)



















商品の説明 (amazon.co.jpより引用)
 
・内容紹介
近年、「ランドナー」と呼ばれる旅行用の自転車の人気が再燃しています。
本書は美しいランドナー作りに欠かせないスキルやノウハウ、部品情報を写真と平明な文章、数値、数々の実体験と実例に基づいて解き明かすものです。
 
・出版社からのコメント
ランドナーが欲しいと思っている人、すでに持っている人、そして本来は知っているはずの自転車ショップスタッフにとって「知りたいことがわかる!」本であり、ストライクゾーンを直撃する本です。
 
・著者について
人気を集める旅自転車専門店「ベロクラフト」(東京・吉祥寺)の店長。
自転車雑誌で常に注目されている実力派です。
 
・著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大槻 正哉
1972年東京生まれ。1993年に(株)ジャパンヘルス入社。サイクル事業部「CWS」に勤務し、店頭業務・サポート選手へのメカニカルサポート・新店舗開発などを歴任。現在は(株)ジャパンヘルスの旅自転車専門店「velocraft」に在籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


そして本来は知っているはずの自転車ショップスタッフにとって「知りたいことがわかる!」本であり・・・
と説明にもあるように、普通のショップスタッフでは知らないようなことが多々書いてある本である。

そもそも、ツーリング車は求められることが違っている。
ロードレーサーやMTBと違い競技性が無く、現在では完全なる嗜好品となっているため、機能的に100%を発揮するツーリング車を組み上げても、それだけでは満足はしないだろう。
また仮に当人が満足してようと、どこからともなく“その筋の方”が現れて、「あ~、なっちゃいないねぇ」とウンチクを語り、その道に引きずり込もうとするのもよく聞く話だ。
これが個人の話であればまだいいが、プロショップで大金を叩いて購入した愛車ともなれば、
ダメ出しされた時のショックと自転車店に対する恨みもひとしおだろう。


そんな危険を少しでも回避するカンペとしておススメの本である。
内容的には広く浅く、誰でも読める内容となっているが、巻末に登場する東叡社ツーリング車の鮮明なカットと寸法データや、マッドガード関係の資料は、普段ツーリング車を専門としていない自転車店にとっても仕上がりをイメージしやすく、また他に聞きにくい細かい部分の処理などが確認できるので、迷ったときに役に立つ有難い存在となっている。

旅する自転車の作りかた Index


PART 1 旅する自転車の仲間たち 旅のスタイルで自転車を選ぶ
・小旅行用快走ランドナー
・乗り心地重視の快適ランドナー
・長距離を快走するスポルティーフ
・長期間の旅に対応するキャンピング
・メーカー完成車とオーダー・ハンドメイド車
・ランドナーとどう違う? モダンツーリングバイク

PART 2 旅を支えるパーツたち
・ランドナー系の旅行車に用いられるパーツ
・ホイールの規格と選びかた
・タイヤの太さは荷物と乗り心地で選ぶ
・マッドガードの機能と形状
・タイヤの太さとマッドガードの相性
・輪行スタイルとマッドガードの関係
・キャリアとバッグが旅する自転車製作の決め手
・変速ギヤシステムの選びかた
・シフトレバーのメリットとデメリット
・ブレーキレバーのメリットとデメリット
・STIレバーをツーリング車で活用するノウハウ
・ブレーキの選びかた
・ハンドルバーの選びかた
・ステムの長さとフレームサイズ
・バーテープの素材と使用感
・スレッドタイプのヘッドパーツを使う
・旅する自転車に欠かせない革サドル
・シートピラーの突き出しを考える
・ペダルはビンディングかトークリップを選ぶ
・ライトはツーリングの必須アイテム

PART 3 フレーム&ホイールを用意するフレームパイプの選択
・フレームの各種工作と直付け小物
・オーダーメイドフレームの購入方法
・カラーリングにこだわる
・ツーリングフレームの最高峰、東叡社
・組み立て前に行うフレームの下処理
・スポークの本数と組みかた
・ホイールを構成する部品たち
・ハブにスポークを通す
・ホイールを仮組する
・ホイールの「振れ」を取る
・スポークのテンションを確認する
・フレームの下処理を仕上げる

PART 4 旅自転車を組み立てるマッドガードを取り付ける
・マッドガードの先端部をカットする
・取り付け穴を開け、パッキンを作る
・マッドガードの後端部を仕上げる
・U字ステーでマッドガードを固定する
・リアのマッドガードを取り付ける
・分割式マッドガードとライトの装着
・フラップと松葉ステー
・車種別マッドガード取り付け位置
・ハンドル周りの取り付け
・駆動系メカの取り付け
・バーテープの巻きかた[コルクテープ編]
・バーテープの巻きかた[コットンテープ編]
・ヘンプ巻きとニス塗り
・インナーワイヤーのハンダ処理
・最終チェックを経て完成



旅する自転車の作りかた 大槻氏直筆サイン
最後にこの本の特筆する点を2つ
①これまで自転車店の門外不出のノウハウが全部ではないが写真付きで説明されている。
②STIを提案するなど、懐古主義にとらわれないながらも、スタイルを維持し「その筋の方」と共存している。

商売をするにおいて、ノウハウを囲い込んで自店の利益とするのが慣例であったが、
反対にオープンにすることで業界の活性化を狙い、知名度と利益を手にしようとする大槻氏は、
やはり自転車界でも一歩抜け出た存在であろうと思う。




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