2011年10月9日

自転車と時計メーカーとCITIZEN ATTESA

CITIZEN ATTESA ATD53-3061

自転車界に関わらず、ブランドと生産元の乖離は当たり前になっており、
「○○さんの工房で作られたから、○○というメーカー名」という生い立ちを
持ちながら、今では生産はすべて中国のOEMに依存しているという例も少なくないだろう。
一般的な消費者は無名のOEMメーカーのことなど特に興味はなく、そのブランドの持つ欧米諸国のイメージを思い浮かべては優越感に浸っている。
この傾向は特に日本人に多いらしい。

話は変わって、腕時計について。
正直、フィクションサイクルでは腕時計は専門外なので詳しくは書けないが、自転車よりもさらにブランド力が重要な世界というのは簡単に察しが付くだろう。
自転車の場合であれば、より速く、より正確に、より丈夫に、より軽く、より楽に・・・
などと機能の改善点はいくらでも挙げられる。
しかし時計となるとそうも行かない。
腕時計に求められる機能とは、「時間を知る」これしか無い。
正確な時間を知るということに関しては、年差0秒の電波クオーツが完成した段階で、すでに究極に達してしまっている。
もっと言ってしまえば、携帯性などを突き詰めて行けば腕時計という存在もいずれは否定しかねない。
ということで、腕時計に求められるものは、ファッション性やステータス性、嗜好性が重要視されるようになっているのだろうと思う。

■腕時計の種類(ムーブメントの方式)

・機械式(アナログ/アナログ多針)
  手巻き
  自動巻き

・クオーツ式(アナログ/アナログ多針/デジタル/デジアナ)
  電池式
  ソーラー式
  発電式(キネティック、スプリングドライブ含む)
  電池式電波時計
  ソーラー式電波時計

■各ムーブメントの特徴

・機械式
スイス製に代表される高級時計が多く採用しており、その精密さは工芸品とも言える。
内部に一切電気回路を持たず、ゼンマイの力を動力とする。
ステータス性、嗜好性は高いが、数年に一度の高価なオーバーホールの必要性や、日差が数十秒あることや、気候によって調子が変わるなど、人間的な部分がある。
その手間を楽しめるかどうかによって、所有する価値は変わってくる。
価格は1万円台~数千万円クラスまで存在する。
自転車に置き換えると、STIよりダブルレバー、クリンチャーよりチューブラー、カーボンパーツより穴あけ肉抜き加工、最新シマノよりオールドカンパ。といったところだろうか?

・クオーツ式
1970代より急激に広まった、比較的新しい方式。
クオーツとは水晶のことで、昔は水晶式腕時計と記載があった。
機械式がゼンマイとテンプと呼ばれる振り子で動くのに対し、クオーツ式では電気で水晶を振動させ、それを元に電気で針を動かすかデジタルの表示を行う。
「正確に時間を刻む」という性能だけみれば機械式を圧倒的に上回っており、月差は多くても15~30秒ほど。
電池交換の必要はあるものの、ムーブメントのメンテナンスは基本的には行えず、補修部品の供給期間を過ぎた時点で修理は不可能となる。
このことから“一生ものなら機械式”と言われるが、一概に正しいとも言えない。
価格は数百円~30万円程度(装飾時計を除く)
自転車に例えるなら、買い物用ギア無しママチャりだったり、純国産高級通学車であったり、電動DURA-ACEだったり、トレックの最新ツールマシンだったり、とにかく生産性や機能性に特化した雰囲気。
クオーツに関しては種類や方向性がまちまちのためなんとも言いがたい。

上記のなかで、「正確な時間を知る」という機能を中心に、何を持つべきかを考えてみた。

Q:機械式orクオーツ式
A:クオーツ式
理由:メンテナンス不要、安価、高精度

Q:電池式orソーラー式or発電式
A:ソーラー式
理由:電池交換不要で超寿命。また発電式は半分機械式の構造のため要メンテとなる。

Q:電波時計or非電波時計
A:電波時計
理由:文明の利器は利用しないと損。自動調整で年差0秒を達成。

Q:アナログorデジタル
A:アナログ
理由:個人の好みだが、TPOを選ばないアナログを選択。

ここまで来ると、選べるメーカーは非常に少なくなり国内の有名ブランドである、セイコー、シチズン、カシオからの三択となる。
今や日本のメーカーとなってしまったエルジンUSAからも電波ソーラーが発売されているようだが、あまりに情報が少ないため除外する。

SEIKO/セイコー
・BRIGHTZ/ブライツ(日本製)←店長オススメ
・DOLCE/ ドルチェ(日本製)
・PROSPEX/ プロスペックス[スピードマスター](日本製)
・SPIRIT/スピリット(中国/日本製)


CITIZEN/シチズン
・EXCEED/エクシード(日本製)
・ATTESA/アテッサ(日本製)店長オススメ
・PROMASTER/プロマスター(中国/日本製)


CASIO/カシオ
・OCEANUS/オシアナス(日本製)店長オススメ
・LINEAGE/リニエージ(タイ/日本製)
・EDIFICE/エディフィス(タイ/中国/日本製)


※生産国はamazonの情報を元にしています。真意は定かではありません。

こうして細部を比較すると、日本国内製、チタン素材、耐磁性といった部分では電波ソーラーを10年以上前から前面の押し出しているシチズンに一日の長がある言えるだろう。

またネットからの情報と時計売り場の販売員の方の意見によると・・・
・ソーラーの質
・二次電池の耐久性(20年でも初期の80%?)
・チタンの加工、ザラツ研磨技術
・耐磁性商品のラインナップ多さ(耐磁性が無いと時刻補正の回数が多くなり二次電池寿命を削る)
この点が優れているとのこと。

そして最終的に購入したのはシチズン・アテッサATD53-3061となった。
決め手となった特徴はクロノグラフ機以外でGMT針搭載であったことだ。
数あるラインナップの中でも、4針GMT機は少ない。
そしてなぜか3針モデルと価格は変わらないお得感があった。

CITIZEN ATTESA ATD53-3061 スペック
・精度:±15秒/月(非受信時) ・側材質:チタン[IP]
・表面処理:白色めっき ・ガラス:サファイアガラス(無反射コーティング)
・バンド:三ツ折れプッシュタイプ ・防水:10気圧防水
・24時間針付き(デュアルタイム表示可) ・時差修正機能
・フィットアジャスター ・パーペチュアルカレンダー
・時差修正機能 ・受信局自動選択機能
・定時受信機能 ・強制受信機能 衝撃検知機能
・針補正機能 ・充電警告機能
・過充電防止機能 ・パワーセーブ機能
・フル充電時約2.5年可動(パワーセーブ作動時) ・デュラテクトTIC
・保証:メーカー保証1年

GMTの表記と針だけが赤色 デザインはあくまで妥協

無反射コーティング サファイアガラス

裏蓋 「MADE IN JAPAN」刻印

暗所での発光(GMT針のみグリーン発光)




最後になるが、冒頭に書いたブランド名と製造元。
デザイン、ブランド時計が氾濫している現在、中と外の製造が別会社というのは当たり前だが、その中において、実は日本の時計メーカー世界の時計の中身(ムーブメント)において60%近くのシェアを誇っている。
(ヨーロッパの高級ブランド勢はETA/エタ製がクオーツ、機械式ともに搭載率が高い)
ブランドはヨーロッパ、中身は中国製というものを見飽きているせいか、信頼の日本製という言葉が懐かしく、そして嬉しく感じるような気がする。

ちなみに自社一貫生産を時計業界でマニファクチュールと呼んでいるが、ぜひとも日本の自転車メーカーも自社一貫生産を行い、消費者には“それら”と“横文字の名前の入った中国製自転車”とを見分ける力を持ってもらいたいと願う。

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