2012年7月29日

Beta(ベータ) 96Tシリーズ ヘックスレンチ





















Beta(ベータ)/イタリア
1923年創立。第一次世界大戦終了後鉄工所として創立され、1939年にプロ用手動工具ブランドとして商標「ベータ」を登録、工具メーカーとなる。1970年代前半には、ベータは、フォーミュラワン(F1)レースでモータースポーツ後援を始め、1975年オーストリアグランプリでオレンジ色のホィールを付けたマーチが優勝、自動車用工具メーカーとして知られる様になる。イタリアに生産工場は、Sovico、Castiglione d’Adda、Sulmonaの3拠点があり、販売は、フランス・グレートブリテン・ポーランド・中国・スペイン・オランダの6カ国に子会社がある。

Bata(英語)
http://www.beta-tools.com/beta/index_en.html
Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A5%E5%85%B7%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

自転車の整備作業において、ヘックスレンチ(アーレンキー、六角レンチ)は絶対に欠かせないものだ。
特にスポーツ車ともなれば、ネジというネジはすべてヘックスといっても過言で無いほどの採用率を誇る。
(反対にまったく使用していないものに実用車、廉価版ママチャリ、伝統的アメリカ車などがある)
当然、工具の使用頻度としてもトップクラスであり、出来れば最良のものを用意したいという気持ちは自転車の作業に関わるものなら、誰もが持つだろう。

数あるヘックスレンチの中でも、評判がよく、自転車店でもよく使われているのがベータの96Tシリーズだ。
特徴的なのがオレンジ色の樹脂グリップだが、この絶妙な形と重さのバランスがなんとも言えず使いやすい。
また金属部分は先端約1センチのみ六角になっており、それ以外の部分は真円でかなり上等なメッキ処理がされている。
おそらくこれが他社との最大の違いであり、ベータが優秀とされている由縁であると思われる。

フィクションサイクルでも特に頻度の高い4、5、6mmはベータを中心に使用しており、5mmに関しては全工具中で一番使っていると言っても良い。

持ち手が大きくなる6mmは作業効率を考え、後ろ側をカットしている

しかし万能のように見えるBeta T96にも弱点がある。
それはいかにもイタリア製らしい、加工精度と耐久性の低さだ。
初期の段階では特に問題ないが、徐々にメッキが剥がれ、精度が落ちてくる。
個人の使用では問題ないが、業務での使用であれば、1年持たない可能性もある。

※フィクションサイクル店長は平日は毎日会社へ行っているため、使用頻度は個人の範囲となります。

比較用としてPB SWISS TOOLSのヘックスビットを用意した




















右:Beta T96 左:PB SWISS TOOLS(サイズはともに5mm)



















工具界の最高峰ともいえるPBの加工精度。
面取り加工に数段手間をかけていることが分かる。

右:PB SWISS TOOLS 左:Beta T96(サイズはともに5mm)



















Betaは先端のメッキが剥がれてしまっているが、それ以外のネジと接触していない部分でも、角が丸く処理されている。
一方PBはかなりの使用頻度にも関わらず、一切磨耗していない。

先端部分の測定



















メッキが剥がれた部分は4.9mmだった。
メッキ部分では5.0mmの数値であったため、測定器の小数点以下の誤差もあるが、0.1mm以上削れていると見て間違いないだろう。

それでは結果的にベータのヘックスを今後どうして行くのかと話になるが、おそらくこのままこのシリーズ使い続けると思う。
なんだかんだ言ったが、これ以上に馴染む工具は今のところ見つからない。
また金額にしても2~3千円程度なので、メッキがダメになったら交換するという方法で十分対応できるだろう。

さらにネット上で聞いたウワサだが、ここ最近のものは過去のものに比べて加工精度が上がっているらしい。
もし本当であれば、大いに期待するところだ。

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2012年7月22日

セイコーファイブ(SEIKO5)に見る自転車業界の明暗


セイコーと言えば世界中で見かける超有名メーカーであることは間違いない。
高い技術を持ち、ブランド的にも性能的にも素晴らしいものがある。

一方の日本の自転車メーカーと言えば、ブリヂストンやパナソニックなどの大手グループ関連企業を除けば、世界に通用するメーカーは皆無に等しい。
それでも1980年代まではツールドフランスを走りステージ優勝したこともあったジャパンメイドの自転車。
なぜここまで衰退してしまったのだろうか?

今では品質は台湾製や一部アメリカ製がレーシングバイクの最高水準と言われるほどに成長を遂げているが、かつてヨーロッパの人々を驚かせた日本の自転車は見る影もない。
ヨーロッパブランドの自転車とて、製造のほとんどを台湾や中国などのアジア圏に移してしまったため、かつてのように盛んな産業とはいかないが、それでもイタリア車は高級ブランド車の代名詞的存在に君臨し続けている。

日本の自転車メーカー衰退の一員として「ママチャリ文化」が関係しているという話を良く聞くが、おそらくその通りだと思っている。
日本の自転車メーカーが一番のマーケットとしていたのは日本国内での販売であり、特に「ママチャリ」という他の国には存在しない商品が主力であった。
自転車界はすでに数十年前からガラパゴス化が進んでいたのだろう。
「ママチャリ」という代物はその用途から、高性能である必要もさほどなく、また普段の足としてブランドに執着するものでもなく、日本人特有の「有名なものを買っておけば安心」という考え方に支えられて、なんとか国内の需要を満たすかたちで生き延びてきた。
しかし、最初は「安かろう悪かろう」だった海外製品も少しづつ品質が向上し、今となっては日本メーカーの主力商品であった「ママチャリ」はそのほとんどを中国製品に市場を奪われ、気付いたときにはもう競争力など一切残されていなかった状態だ。
現に数ある日本の自転車メーカーの業務内容が「商品企画と海外へのOEM発注、そして国内での販売」という、ただの商社になってしまったため、技術的な競争など出来る状態ではない。

ここまで自転車の話だったが、時計メーカーであるセイコーにも似たような背景がある。
まず腕時計の市場だが、やはり自転車と同じようにヨーロッパに強豪ブランドメーカーがひしめき合っている状態であり、もしセイコーを初めとする日本メーカーが国内のみにターゲットを絞って商売を考えていたならば、現在の自転車メーカーと同じ末路を辿っていただろう。
そのセイコーもオープンな社風と言うわけでなく、血族経営を頑なに守ってきたという歴史がある。
しかし、経営方針はどうであれ、常に世界の市場を視野に入れて企業活動を行って来たことが現在のセイコーの地位を位置づけていると言って間違いないだろう。

セイコーの強みは自社のムーブメント(中身の機械)を他のメーカーに供給しているところだろう。
ちょうど同じことがヨーロッパブランドのOEMで有名な自転車メーカーのGIANTにも言えるが、やはり商品そのものを作る技術を持っているところが一番強いというもの。
かの有名なタグ・ホイヤーもセイコーからの部品供給を受けると発表したニュースが印象に残っているが、それこそセイコーが時計界の第一線にいるという証ではないだろうか。

例えば、イタリアにPINARELLO(ピナレロ)という世界一流メーカーがあるが、近年では台湾OEMの噂が市場に出回り、ブランドイメージの低下を招いている問題があるが、反対に言えばそれほどOEMメーカーの技術力が高いと言う証明にもなっている。
もしかすれば今後ピナレロが完全にブランド名だけのメーカーとなってしまい衰退の一途を辿れば、かわりに台湾メーカーが自社名を堂々と表に出してヨーロッパに攻め込んで来るという日もそうと遠くないのかもしれない。

イタリア本国製(塗装と仕上げ)のピナレロ PARIS

このように高級ブランドメーカーはその自らのブランドを維持するために身動きが取れなくなるといったことが多々あるが、セイコーはグランドセイコーに代表される高級モデルから、クオーツ式の廉価帯まで、ほとんどに自社のネームを冠している。
これが良いか悪いかはブランド戦略も含め一概には言えないが、セイコーの名前を冠するからには、廉価商品であってもその性能に自身があるということなのかもしれない。

セイコーファイブはまさにそんなモデルではないだろうか。


「SEIKO 5」の評価

【良い点】
・安い、機械式としては破格
・価格からは想像できないクオリティーの高さ
・文字盤に輝くSEIKOのロゴに存在感がある
・裏がスケルトンで機械を見て楽しめる
・デイ&デイト表示(デイト(曜日)の表示は好みが分かれるが・・・)

【悪い点】
・文字盤に5の透かしがあるものがあり、シンプル好きには邪魔かも
・竜頭が4時の方向にあるのが特徴だが、サイズが小さく回しにくい
・個体によって日差にかなり差がある。
・巻きブレスがズバリ安物そのもの

以上のように、やはりブレスに関しては不満が残ってしまう結果となる。
とは言え一万円以下で買える機械式時計が他にないため、間違いなく貴重な存在。

通称「裏スケ」

欠点も機械式時計と思えば「あばたもえくぼ」なのかもしれない。
実際使ってみてしばらくは違和感を感じたが、慣れてくると機械式独特の生きている感じが伝わってきた。
また、ブレスに関してはジャラジャラというよりはシャラシャラという安時計特有の軽さがあったため、即座に革バンドに変更した。

高級時計とは違い、容赦なく使えるというところがやはり一番のポイントだろう。
それが逆に愛着を深めるきっかけとなった気もする。

SKN3○○KCシリーズ


個人的には純正のメタルブレスはどうしても好きになれないため、革バンドへの交換をおすすめする。
ただし一つだけ注意事項があり、「SNK355KC」などは通販サイトでのスペック上はバンド幅は16mmとなって場合があるが、実際測定してみるとラグ幅は18mmとなっていた。
amazonなどで最初にまとめて購入すると思わぬ失敗があるかもしれないので、現物を見てから考えるのが無難そうだ。

価格がとても安いので例え100本買っても高級スイス時計1本分の価格だ。
ファイブシリーズは海外に多く出回っているため、日本にわずかしか入荷していない希少モデルも多いため、コレクションしてみるのも面白いかもしれない。
もし最初にお試しということであれば「SKN3○○KC」というモデルがもっとも安く購入できる。

SNK355KC
SNK357KC
SNK361KC
SNK381KC
SNK385KC
SNK393KC

以上のモデルは文字盤のデザイン違いとなっている。
ちなみに品番の最後のアルファベットが「K」となっているものは海外生産、「J」となっているものは国内生産と言われている。
性能的に大きな違いはなく価格が数千円差のため、この際思いっきり安い海外生産ものを買って見るのも良いかもしれない。

またベルト交換が不可能なタイプも存在するため、よく検討することが必要。

ベルト交換不可モデル

革ベルトと文字盤の組み合わせとしては・・・

文字盤:白 × ベルト:茶 (google画像検索)
文字盤:白 × ベルト:黒 (google画像検索)
文字盤:黒 × ベルト:黒 (google画像検索)

などがオシャレで使い勝手がいいと思う。

それでももしセイコーファイブはちょっと・・・と思うこともあるかもしれない。
確かに価格が安すぎるため、知っている人間には「時計通」と見られるか、「安い時計」と見られるか紙一重だ。

そんな時は、セイコーメカニカルがオススメ。

SEIKO SARB033




一部で「プアマンズGS」などと呼ばれているが、それはつまり安いながら高品質という意味。
大き目の竜頭に機械式ならではの存在感のある太い針。
この黒革ベルト仕様はかなりオシャレだと思うし、会社での上司のウケも良いかもしれない。
これから社会人になるフレッシュマンで時計選びに迷っているなら、こんなシブめの選択も十分アリだ。

Vブレーキとカンチブレーキに関する問題点

ブレーキ本体ではなく、ブレーキレバーについて言えば大きく分けて二つの規格に分類される。
Vブレーキ用カンチブレーキ用だ。
自転車の長い歴史において、ワイヤー式ブレーキレバーの引きシロに関してはしばらく各メーカーがほぼ同じ設計をしていたため、アッセンブルでも高い互換性があった。
しかしVブレーキの登場で統一だったブレーキワイヤーの引きシロにそれぞれの規格に変化が見られるようになった。

Vブレーキは従来のブレーキと比較して、ワイヤーストロークを多く必要とするのが特徴だが、反対に言えばワイヤーを引っ張る力が弱くなっているとも言える。
レバーの構造でリンク比(てこの原理)を変化させているため、操作している人間には実感として伝わって来づらいが、それ故に間違った組み合わせが発生しやすく、使用方法を誤った場合には大きな事故に繋がる可能性も高い。

ちなみにVブレーキとはシマノの商品名であるため、他メーカー商品はロングアームカンチと呼んでいるが、Vブレーキとういう名称が定着しているため、ほとんどその名称を使うことはない。
また、以下カンチブレーキをCブレーキと書く。

それぞれのブレーキの特徴
・レバー操作によるワイヤーのストローク量
 Vブレーキ 大
 Cブレーキ 小
・ブレーキ本体を作動させるのに必要な力
 Vブレーキ 小
 Cブレーキ 大
・各ブレーキのタイプ別の規格分類
 Vブレーキ Vブレーキ、メカニカルディスクブレーキ
 Cブレーキ カンチブレーキ、キャリパーブレーキ(ロード&ママチャリ)、
         ミニVブレーキ、ローラーブレーキ、サーボブレーキ、ドラムブレーキ、その他

以上のように、Vブレーキと、Vブレーキの延長線上に登場したメカニカルディスクブレーキだけが独自の規格となっている。
これらの組み合わせを間違うとどのような弊害がおきるかを考えると・・・

Vブレーキレバー×Cブレーキ本体
・操作によりワイヤーを引っ張る力が弱く、Cブレーキで十分な性動力を得られない。
Cブレーキレバー×Vブレーキ本体
・ワイヤーのストロークが小さくなり、ブレーキング操作がシビアになる。
・ブレーキシューの可動幅が狭くなるため、リムとのクリアランスが確保しずらくなる。
・通常通りレバーを操作すると予想以上の制動がかかるため、前輪の場合ジャックナイフの危険性がある。

従来であればブレーキの組み合わせについては、さほど気を使わなくても良かったが、近年のVブレーキの普及により、誤った組み合わせが起こりやすい環境にある。
また、MTBのドロップハンドル化(STIレバーはCブレーキ規格)やロードレーサーのフラットハンドル化、補修部品の少なくなったCブレーキMTBのVブレーキ化など、注意が必要な点が多い。

また電動アシスト自転車や幼児二人同乗タイプの登場で、高い性動力が必要となり、フロント側のみVブレーキを純正で採用するメーカーもある。

ブリヂストンの「HYDEE.B」などはまさにその典型モデルとなっている。

フロント側 Vブレーキレバー(Vブレーキ)

リア側 カンチブレーキレバー(ローラーブレーキ)

ワイヤーのタイコを保持する部分のリベットの位置が違うことが分かる。
しかし両者のレバーの違いはこの部分のみのため、外観からは判断がつかない。
フロント側(Vブレーキ)の方がレバー自体のリンク部からワイヤーが遠い場所で固定されており、ワイヤーストロークに違いがある。

またパナソニックの「EZ」はさらに面白い構造となっており

フロント側 Cブレーキ(キャリパーブレーキ)

リア側 Vブレーキレバー(Vブレーキ)

このようにブリヂストンとは正反対の仕様だ。

個人でブレーキレバーを交換するなどの場合は、見た目が同じだからと言って安易に判断すると事故に繋がりかねない。
ブレーキに関する問題は必ず専門家に判断してもらうのが懸命と言えるだろう。

※フィクションサイクルでは豊富な経験と知識を持ってはおりますが、お客様の広いニーズにはお応えしておりません。

2012年7月16日

ブリヂストン発「スマートコントロールブレーキ」


昨年発売されたアンジェリーノアシスタDXに採用された「スマートコントロールブレーキ」
すでにネット上では一般車への流用情報などが流れており、マニアックなパーツながら密かな感心を集めている。


なんと言っても第一印象は独特な造形が与えるインパクトではないだろうか。
普段は見えない可動部も、カバーを外してみればメカニカルな構造がむき出しとなる。

構造的には比較的単純に見えるが、過去の様々なブレーキ達を彷彿とさせる。
大型化したセンタープルブレーキと言ってしまえばそれまでかもしれないが、ブリヂストンが満を持して発売しただけあって、機能的にも優れていると見て間違いないだろう。

さて、ではなぜこの形なのか?
はっきり言ってしまうと、ブレーキというものはリンク(ピボット)が多くなればなるほどフリクションが増えて操作が重たくなり、また構造物本体も構成パーツが増えて重量が加算されるとされ、ブレーキの複雑化は近年ではあまり行われて来なかった。

同じ構造を持つブレーキとして、古いところではカンパニョーロのデルタブレーキ(前期型)では機能性については酷評だらけだったし、Dura-Ace AXにおいても“良く効く”という話は一度も聞いたことがない。
そもそも自転車のブレーキは人間が操作できるブレーキレバーのストロークがほぼ決まってしまっているため、奇想天外なブレーキシステムは考え出そうとしたってそう簡単なものではない。

良く効くブレーキの条件(ストッピングパワー)をあげるとすると
・フリクションロスが少ない
・たわみによる力の逃げが少ない
・ブレーキシューとリムの摩擦係数が適正である

以上が大きな要素であり、ブレーキ自体の構造はそれほど重要ではないことが分かる。
※油圧ディクスブレーキが良く効くと言われる理由は同じところにある。

ブレーキ未操作時

ブレーキ作動時

なぜこの形なのかという答えは、構造的に良く効くというわけではなさそうだ。

次に考えられる理由として、ブレーキ本体の剛性アップのためというのがあげられる。
従来のWピボットブレーキは機構としては完成の域に達していたが、それ以上の剛性アップとなると、スペース的に困難が生じると考えられる。

それではいっその事、ブレーキ自体を大きく作り部品の一点々々を強化してはどうか?
これが「スマートコントロールブレーキ」が生まれた背景ではないかと個人的には思っている。

大型化してしまった理由としては、従来の規格と互換性を持たせたためという見方が強い。
例えば、単純に性動力を上げるのであれば、Vブレーキ化という手がある。
実際にパナソニックの新型「ビビストロング」ではフロントのみにVブレーキを採用しているのだが、自転車自体が専用設計となってしまっている。

スマートコントロールブレーキの互換性
・ブレーキレバー:従来品で対応可能
・フロントフォーク:従来品で対応可能

Vブレーキの互換性
・ブレーキレバー:Vブレーキストローク対応品のみ(従来品はカンチストローク)
・フロントフォーク:Vブレーキ台座が必要(台座があるのはMTBフォークくらい)

このように高い汎用性を誇ることにより、車体側に大きな仕様変更を必要とせずパーツアッセンブルの自由を確保している。

またVブレーキがシンプルで高い性動力と引き換えに、犠牲にしてしまっている点もある。
もともとレース向きのブレーキのため、メンテナンスは簡単であるが、それゆえブレーキが開放しやすい(ライナーとストッパー部分で外しやすい)ため、メンテナンスが疎かになりやすい街乗り自転車には相応しくない点や、使用状況によって片効きが発生しやすい。

一方のスマートコントロールブレーキではVブレーキで発生する問題点は皆無で、構造上どうしても操作が重たくなるものの、片効きも発生しにくい。

レールに沿って可動するため片効きが発生しにくい

結論としては、このブレーキは重量のかさむ幼児2人同時乗車を想定して適正化されたもので、いかなる状況でも安全に停止できるようにブリヂストンが考え出したものだと想像する。
最初から狙っていたかは分からないが、市場でもいかにも効きそうな見た目のブレーキとして十分にアピールにも成功しているようだ。
けして従来のブレーキに制動力で勝るというものでもないため、一般自転車に流用してもその効果は薄いだろう。

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2012年7月15日

電動アシスト自転車メーカーの比較 【後半】




電動アシスト自転車メーカーの比較 【前半】からの続き
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2012/07/dendou-hikaku01.html


・パナソニック/Panasonic

・ヤマハ/YAMAHA

・ブリヂストン/BRIDGESTONE


電動アシスト自転車メーカーのバッテリー比較はオススメ度)


・パナソニック ★★★★★

他社には存在しない12Ah、16Ahの大容量ラインナップを展開しており、長距離走行モデルが主力となっている。
生産元は明らかにされていないが、ネット上の情報によるとサンヨー、NEC、パナソニックと3社からの供給となっている模様。
供給といっても2社はグループ会社であるため、実質自社製と考えて良いだろう。
この自社製という最材のメリットは最新技術が最優先で自社商品に投入できるところだろう。
1Ahあたりのバッテリー単価は8,322円/Ah(3.1Ah)~2,950円/Ah(16Ah) ※2012年7月現在

・ヤマハ ★★★★☆
現在の最大容量は8.9Ahとなっており、数値だけ見ればパナソニックには及ばないものの、実用の範囲で考えればこの容量はベストサイズのため、なんら不具合はないだろう。
パナソニック同様製造元は公開されていないが、以前よりサンヨーからの供給であると言われている。
パナソニックがサンヨーを吸収した今となっては、ライバルメーカーからの供給という微妙な構図にはなるが、2011年に同様のバッテリーを採用するパナソニックよりも早い段階で長寿命をアピールするなど、積極的な面も多く見られる。
パナソニックとの大きな違いは安全対策として期限タイマーが採用されており、一定の使用期間を過ぎると使用できなくなるように設定されている。※1
1Ahあたりのバッテリー単価は9,052円/Ah(2.9Ah)~4,129円/Ah(8.9Ah) ※2012年7月現在

・ブリヂストン ★★★☆☆
ヤマハ製のユニットを採用していることから、バッテリーもヤマハとまったく同じ仕様となっている。
単純に外装ケースのマーク違いだけで、お互いに互換性もある。
検査機器も同じものが使用できるため、ヤマハ取扱店でもバッテリーの検査や購入等が可能である。
新モデル発表時には、どうしてもヤマハより一歩出遅れるケースが多いようだ。
1Ahあたりのバッテリー単価はヤマハと同額

まとめ
現行モデルはすべて高性能リチウムイオンバッテリーとなっており、各社とも違いはほとんど無い。
加えて2011年からは各社とも高耐久、超寿命バッテリーへと切り替えを行っており、この面からもどの商品を選んでも同じと言える。
大容量バッテリー目当てなら迷わずパナソニックだが、ヤマハの8.9Ahもけして少ない数字ではない。
ただし、互換性という切り口で見た場合、パナソニックは2005年から7年間に渡り同じケース、車体形状を保っているため、基本的にモデル、年式に関わらず互換性がある。(例外を除く)
一方、ヤマハ、ブリヂストンは2011年に大きなモデルチェンジを行っており、それまでの旧モデルと互換性が無くなっている。
期間を空けての追加購入や、その後の様々な要因を想定すれば、市場に一番出回っているパナソニックが無難な選択となるだろう。
またヤマハ勢の12Ah以上のリリースは車体の設計上スペースの確保が難しいため、可能性は低いと思われる。

※1 2012年10月23日発表の情報によるとタイマープログラムは解除できるようになっている。
   詳しくは「PASリチウムイオンバッテリープログラム書き換えについて」を参照。


電動アシスト自転車メーカーの車体性能比較はオススメ度)


・パナソニック ★★★★☆
国内ではブリヂストンに次ぐ二位メーカーであり、日本国内に自社工場を持つ希少な存在である。
一般自転車のラインナップは非常に広く、特にパナソニックオーダーシステム(POS)はすべて大阪の自社工場製となっており、電動アシスト自転車にもそのフィードバックが生かされている。
フレームにチタニウムを採用したフラッグシップモデルから、普及版のU型フレームまですべて同じ工場内で製造されていることから、そのレベルはかなり高いところにあると言える。
一部のアルミフレームは海外製造となるが、車体番号が「G」で始まることから世界最大手のジャイアントのOEMと予想され、品質的には十分だろう。
自社工場の最大のメリットは企画から商品発売までのリードタイムが最小限に抑えられるところにあり、パナソニックのラインナップが豊富な理由もここにあると考えられる。
また、フレーム以外の構成パーツも改良に積極的で、毎年少しずつマイナーチェンジが加えられている。
2012年からは家電でおなじみのエコナビを搭載しており、オートライトや省エネ機能などが充実しており、やはり家電メーカーであるということが強く印象付けられている。

・ヤマハ ★★★☆☆
車体はブリヂストン製となっており、ヤマハ自身は一切製造を行っていない。
しかし国内首位メーカーのブリヂストンということもあり、品位は極めて高い水準にある。
またヤマハにはブリヂストンブランドでは発売されていないオリジナル車種が複数あり、完全にラインナップが同じと言うわけではない。
デザインもヤマハ独自のものとなっており、ヤマハらしいシンプルなデザインにまとまっている。
パーツ構成に関しては、残念ながらブリヂストンがすべての付加価値装備を供給しているわけではなく、ブリヂストンの同クラスモデルとの比較ではやや簡素化されており、その分価格は数千円低めに設定されていることが多い。

・ブリヂストン ★★★★★
誰もが知っている国内圧倒的首位の自転車総合メーカーである。
電動アシスト自転車では国内3位に甘んじてはいるが、自転車で培ったノウハウを次々と注ぎ込んでいる。
なかでもアンジェーリーノシリーズなどは長年の自転車での歴史と経験がなければあれほどのヒット商品にはならなかっただろう。
デザイン面でも売れ筋を良く理解しており、コーディネートが非常に上手いと言える。
雑誌とタイアップして話題となった「HYDEE.B」においては、パナソニックやヤマハでは絶対に発想すらしないジャンルを見事に制しており、自転車の技術力に加え、マーケットリサーチにも長けていることが想像できる。
パーツ構成に関しても、自社のオリジナル装備を惜しみなく組み込んでおり、諸事情を考慮しなければ、ヤマハより商品レベルは高い位置にあると言えるだろう。
フレームは軽量、高剛性のアルミニウム製がメインとなっているが、現在のところアルミフレームを国内で製造するメーカーは皆無に近いため、中国の自社工場製になると思って間違いないだろう。

まとめ
純粋な“日本製”にこだわる必要があればパナソニック一択となってしまうが、良い自転車ということであればブリヂストンは良い選択といって間違いない。
使用してみて分かるメーカーの気配りはやはり首位メーカーであり歴史の長いブリヂストンだろう。
しかし電動アシスト自転車はユニット、バッテリー、自転車が一体となって初めて効果を発揮するものなので、自社一貫生産のパナソニックはやはり強みがあるのも事実だ。


電動アシスト自転車メーカーのデザイン比較はオススメ度)


・パナソニック ★★★★☆
最近では斬新なデザインやトレンドのカラーを採用しているパナソニックだが、数年前までは“野暮ったい”、“アカ抜けない”などと言われ出遅れた感があった。
本体が家電メーカーの大御所ということもあり、メーカーロゴから「どこか床の間の雰囲気がする」という意見もある。
自転車ではやや不人気のイメージだが、電動アシスト自転車というジャンルにおいてはこのメーカーロゴが信頼の証となっており、また近年のデザイン性の向上もあり、数々のグッドデザイン賞受賞をはじめ、数年前に大ヒットした「A.girl's」以来、女性受けする商品に力を入れており、ギュットシリーズではメインカラーにショッキングピンクを採用するなど、他社に劣らないデザイン性を確立した。

・ヤマハ ★★★★★
バイクメーカーということで、スポーティーな乗り物のイメージが強い。
ヤマハと聞くと楽器を想像する人も多いだろうが、乗り物部門とはほぼ関係はない。
バイク、マリン製品、電動アシスト自転車が事業の中核であり、商品カタログやWEBサイトなどを見ても、デザインに力をいれていることがすぐに分かる。
車体のデザインはシンプルにまとまっており、各パーツが目立つことなく協調しあってシルエットを構成しているため、万人受けする統一されたラインナップ展開となってる。
また「YAMAHA」のロゴを前面に押し出していないのが特徴。

・ブリヂストン ★★★★☆
一般自転車でヒットした配色を巧みに取り込んでおり、商品のデザインジャンルが幅広い。
若年層、主婦層、年配層、男性、女性などとさまざまなターゲットごとにデザインやカラーを特化させており、ヤマハほどの統一性はないが、上手くハマればシックリくる商品が多いだろう。
ヤマハと同等クラスの商品においても小物でアクセントを聞かせるのが得意であり、差別化を図っている。
自転車でヒットしたカラーが中心になるため、定番のカラーがほぼ決まっており、パナソニックやヤマハほどの目新しさが無いことが多い。
近年は茶色系パーツを多用したクラシック風の商品展開が目立つ。

まとめ
デザインやカラーはそれぞれの好みとなるためあえて言及はしないが、商品ラインナップやカラー展開についてはパナソニックが一番充実しているため、好みのものがなかなか見当たらない場合は、パナソニックの中でじっくり時間をかけて選ぶという選択もある。
またヤマハでピンと来ない場合でもブリヂストンの同クラス商品ならOKということもあるかもしれない。



これまでパナソニック、ヤマハ、ブリヂストンと細かい点について比較してきたが、細かくなければ本当に同じような商品レベルとなってりまっている。
これは現在、電動アシスト自転車が世間よりかつてないほどの脚光を浴びており、各メーカーがしのぎを削って商品力の向上に執念を燃やしているためだと考えられる。
もしこの3社の内、1社でも存在しなかったら、今のような電動アシスト自転車の市場発展は望めなかっただろう。
しかしこれからは海外メーカーの参入がいよいよ加速し、国内の市場も大きく変化の時を迎えることが予想され、生き残りをかけた本当の戦いが始まりそうだ。

※オススメ度についてはフィクションサイクルの主観によるものです。なんら技術的資料に基づくものではありません。




電動アシスト自転車メーカーの比較 【前半】へ戻る
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2012/07/dendou-hikaku01.html





※参考情報
加藤サイクルさん
http://www.katocy.com/cgi-bin/katocy/siteup.cgi?category=4&page=1

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