2012年6月3日

Audiが発表した電動アシスト自転車 「Audi e-bike Worthersee」


GQ JAPAN 【2500ccエンジン級の大トルクでウィリー可能! Audiが放つ超ド級電動自転車「Audi e-bike Worthersee」】

電動アシスト自転車に関する情報として、アウディが今回発表した「e-bike Worthersee」について調べてみた。
現在のところ、市販については語られていないが、イメージを見る限りではかなりの完成度に達しているようだ。
以前にもスペシャライズド社のSpecialized社の電動アシスト自転車「Turbo」が一部で話題になったが、今回の相手は自動車メーカーのアウディ、発想力と開発力に関しては自転車業界と圧倒的な開きを感じる。
デザインや性能もさることながら、スマートフォンとの連携など、日本の電動アシスト自転車メーカーがなかなか踏み込めないでいる技術をさらりとコンセプトにまとめて来るところがなんともドイツの企業らしいと思う。

さて実際のところ、この素晴らしい自転車が日本に入って来るかどうかと言えば、答えは限りなく「No」でしょう。
GQ JAPANのサイトにスペックについての記載があったが、
リチウムイオン電池:重量約5,000g
電池容量:530Wh
最高速度:80km/h
最大トルク:250Nm
充電電源:230V
充電時間:2時間半

日本の電動アシスト自転車のバッテリーは全て「Ah(アンペアアワー)」で表すが、
今回のデータでは「Wh(ワットアワー)」となっており変換の計算式は
    Wh=Ah×V、Ah=Wh÷V

となるので、市販車の最高峰「パナソニック ビビチャージW」の16Ahと比較すると
16Ah×25.2V=403Wh  ということで約1.3倍

また「Audi e-bike Worthersee」は電圧に関して詳細が不明だが、分かりやすく日本の規格に換算すると、バッテリー容量は21Ahくらいということになる。

一見すると負けているようだが、ビビチャージは自走モードを持たない一般的な日本規格の電動アシスト自転車なので、この結果からすると16Ahというサイズがいかに大きいかが分かる。

パナソニック ビビチャージ・W スペック

また最大トルクの「250Nm」とあるが、これば日本基準の「250W」と似ているようで大きく異なり、
トルクと出力とを単純に比較はできない。変換の数式は以下のようになるが、詳細が不明なため
正しい事は言えないが、自動車の「ベンツE400ハイブリッド」のモーターが同じく250Nmという点からも、圧倒的パワーということが分かる(250Nmの出力を自転車が受け止められるとも思わないが)

    W=2πx Nm×回転数rpm÷60      

以上のように「とんでもないスペック」の自転車であり、日本の規格にスペックダウンしてまで販売するメリットはないだろう。

しかしながら映像で見る限りは、ユニットの制御技術などは高いレベルに達しており、今ヨーロッパ
で電動アシスト自転車人気を支えている「Bosch」の存在も見え隠れする。

現在のところまでは日本企業が先進国での電動アシストユニット技術のトップを牽引してきた存在であったが、かつての携帯電話のように、気付いたときには「ガラパゴス化」というような状況はくれぐれも避けてもらいたいと思う。




Tech Specs - Specialized Turbo 

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電動アシスト自転車の本当のランニングコスト


今や各メーカーが電動アシスト自転車の維持費の低さを声高々に訴えているが、果たして本当にそうなのだろうか?

企業というものは、良い面を前面に押し出し、悪いところは「聞かれていないので答えなかった」

なんてこともよくある話。

イニシャルコストに関しては、自転車に比べれば遥かに高額であり、バイク(オートバイ)と比較すれば諸経費などからみても安い部類だと言えるだろう。
ただ単純に考えて、利便性(ヘルメット着用や保険、交通ルールの違いを除く)だけを言ったらバイクに軍配が上がるのは当然だ。
そもそも法律上、区分が異なるもの通しを比較することは難しい。

電動アシスト自転車のメリットは取り分け「エコの象徴の乗り物」という社会的風潮だと言える。
ガソリンを使わずCO2を排出しない上、都心部ではバイクに匹敵する機動性を持つ。
ではガソリンの代わりに何を使っているかというと、当たり前だが、「バッテリーからの電気」だ。

「バッテリーからの電気」ということで、パッと思いつくのが電気代。
燃費に換算すると一体いくらくらいなのだろうか?

まずは自動車、バイクを計算


自動車の場合(660~1000cc)
1リットルで走れる平均距離:約20km
レギュラーガソリン1リットルあたり:150円
150円÷20km=7.5円/1km

バイクの場合(50~125cc)
1リットルで走れる平均距離:約50km
レギュラーガソリン1リットルあたり:150円
150円÷50km=3円/1km

国土交通省 自動車燃費一覧について
http://www.mlit.go.jp/jidosha/nenpi/nenpilist/nenpilist.html

次に電動アシスト自転車(パナソニック ビビ・DX)
1回の充電で走れる距離:28/km(8Ah)
1回の充電に必要な電気代:5~10円(7円と仮定)
28km÷7円=0.25円/1km

パナソニック ビビ・DX 充電1回の走行距離(標準パターン)
http://cycle.panasonic.jp/products/electric/end4/spec.html
1回の充電にかかる時間と電気代は?
http://pct.panasonic.co.jp/support/faq/faq_2.html#q18

ということで結果は電動アシストがバイクの1/10以下で圧勝。

しかしここで気になってくるのはバッテリーの寿命。
上記の燃費に対してバッテリー交換費用を足してみると・・・

8Ahバッテリー(NKY325B02)
希望小売価格:34,800(税込)
バッテリー寿命:750~900回の充電(900回と仮定・大半は経年劣化が先に来るため)
8Ah走れる距離:28km
28km×900回=バッテリーの生涯能力25,200km
34,800円÷25,200=1.38円/1km

電気代0.25円+バッテリー費用1.38円=1.63円/km

なんと1kmあたりのコストはバイクのガソリン代に迫る勢いに。
しかもこれは900回という最大限にバッテリーを利用した場合であり、実際にはバッテリー寿命は経年劣化が大きく関係してくるため、現実には半分の450回を達成することも難しいと思われる。

実際の生活での利用シーンを考えた場合


1週間あたりの走行距離(1日片道5kmで5日間と仮定):50km
1週間あたりの充電回数:50km÷28km(8Ah)≒2回

一年間は52週なので
1年間あたりの充電回数:2回×52週=104回

900回充電するためには9年もかかる計算となるが、実際には更に「半減期」と言われるように年々バッテリー容量は減っていくため、9年経ったバッテリーが使用できる可能性は極めて低い。

900回という数字はあくまで机上のもので、実際の耐用年数は長くても5~7年が妥当と思われる。
更にメーカーでは超寿命バッテリーの発表のあった2011年以前までは、
「約300~400回の充放電または、約1年半~2年間での交換」と訴えてきたことから、現在の長寿命バッテリーでも2倍の3~4年での交換を想定しているのではないだろうか。

※2012年現在、各メーカーサイトには使用期間の目安に関する表記はない

「バッテリーの経年劣化と半減期イメージ」

電動アシスト自転車 まとめ @ Wiki 「バッテリーの経年劣化」より
http://www26.atwiki.jp/den-assist/pages/23.html#id_090d4396

以上のことから、よりリアルな使用状況を想定すると・・・

8Ahのバッテリーで、週に5回片道5km利用し、5年後にバッテリーを買い換えたとした場合
5年間あたりの走行距離:50km×52週×5年=13,000km


   ちなみに5年間でのトータル充電回数は100回/年で「500回」となりそうだが、
   実際には経年で充電容量の低下が発生するため、3年目以降あたりからは
   こまめな充電が必要となり、5年目では毎日充電しなければならなくと思われる。


バッテリー代34,800円÷13,000km+電気代0.25円=2.93円/1km

となり走行コストはバイクとほぼ同額になってしまうのだった。

なんだ、バイクと変わらないならやっぱりバイクに・・・
と思うのは時期尚早。

バイクにも、自動車にもバッテリー交換はある。
バッテリーどころか、車検点検費用、駐車場代、自動車税、50ccでも自賠責、軽自動車税・・・
これを一つずつ加算していくと、バイクや自動車の1kmあたりのランニングコストは圧倒的に高くなる。

電動アシスト自転車のランニングコストはほぼバッテリーが占めているので、ついついこの部分を指摘されがちだが、トータルで考えれば、やはり圧倒的にコストに優れていると言える。

今回は8Ahで試算を出しているが、バッテリー容量が小さくなればランニングコストは上がり、大きくなれば下がる。
購入の際は、導入時のイニシャルコストだけで判断せず、自分の使用用途によってバッテリー容量を選んでみてはどうだろうか。



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