2012年6月3日

電動アシスト自転車の本当のランニングコスト


今や各メーカーが電動アシスト自転車の維持費の低さを声高々に訴えているが、果たして本当にそうなのだろうか?

企業というものは、良い面を前面に押し出し、悪いところは「聞かれていないので答えなかった」

なんてこともよくある話。

イニシャルコストに関しては、自転車に比べれば遥かに高額であり、バイク(オートバイ)と比較すれば諸経費などからみても安い部類だと言えるだろう。
ただ単純に考えて、利便性(ヘルメット着用や保険、交通ルールの違いを除く)だけを言ったらバイクに軍配が上がるのは当然だ。
そもそも法律上、区分が異なるもの通しを比較することは難しい。

電動アシスト自転車のメリットは取り分け「エコの象徴の乗り物」という社会的風潮だと言える。
ガソリンを使わずCO2を排出しない上、都心部ではバイクに匹敵する機動性を持つ。
ではガソリンの代わりに何を使っているかというと、当たり前だが、「バッテリーからの電気」だ。

「バッテリーからの電気」ということで、パッと思いつくのが電気代。
燃費に換算すると一体いくらくらいなのだろうか?

まずは自動車、バイクを計算


自動車の場合(660~1000cc)
1リットルで走れる平均距離:約20km
レギュラーガソリン1リットルあたり:150円
150円÷20km=7.5円/1km

バイクの場合(50~125cc)
1リットルで走れる平均距離:約50km
レギュラーガソリン1リットルあたり:150円
150円÷50km=3円/1km

国土交通省 自動車燃費一覧について
http://www.mlit.go.jp/jidosha/nenpi/nenpilist/nenpilist.html

次に電動アシスト自転車(パナソニック ビビ・DX)
1回の充電で走れる距離:28/km(8Ah)
1回の充電に必要な電気代:5~10円(7円と仮定)
28km÷7円=0.25円/1km

パナソニック ビビ・DX 充電1回の走行距離(標準パターン)
http://cycle.panasonic.jp/products/electric/end4/spec.html
1回の充電にかかる時間と電気代は?
http://pct.panasonic.co.jp/support/faq/faq_2.html#q18

ということで結果は電動アシストがバイクの1/10以下で圧勝。

しかしここで気になってくるのはバッテリーの寿命。
上記の燃費に対してバッテリー交換費用を足してみると・・・

8Ahバッテリー(NKY325B02)
希望小売価格:34,800(税込)
バッテリー寿命:750~900回の充電(900回と仮定・大半は経年劣化が先に来るため)
8Ah走れる距離:28km
28km×900回=バッテリーの生涯能力25,200km
34,800円÷25,200=1.38円/1km

電気代0.25円+バッテリー費用1.38円=1.63円/km

なんと1kmあたりのコストはバイクのガソリン代に迫る勢いに。
しかもこれは900回という最大限にバッテリーを利用した場合であり、実際にはバッテリー寿命は経年劣化が大きく関係してくるため、現実には半分の450回を達成することも難しいと思われる。

実際の生活での利用シーンを考えた場合


1週間あたりの走行距離(1日片道5kmで5日間と仮定):50km
1週間あたりの充電回数:50km÷28km(8Ah)≒2回

一年間は52週なので
1年間あたりの充電回数:2回×52週=104回

900回充電するためには9年もかかる計算となるが、実際には更に「半減期」と言われるように年々バッテリー容量は減っていくため、9年経ったバッテリーが使用できる可能性は極めて低い。

900回という数字はあくまで机上のもので、実際の耐用年数は長くても5~7年が妥当と思われる。
更にメーカーでは超寿命バッテリーの発表のあった2011年以前までは、
「約300~400回の充放電または、約1年半~2年間での交換」と訴えてきたことから、現在の長寿命バッテリーでも2倍の3~4年での交換を想定しているのではないだろうか。

※2012年現在、各メーカーサイトには使用期間の目安に関する表記はない

「バッテリーの経年劣化と半減期イメージ」

電動アシスト自転車 まとめ @ Wiki 「バッテリーの経年劣化」より
http://www26.atwiki.jp/den-assist/pages/23.html#id_090d4396

以上のことから、よりリアルな使用状況を想定すると・・・

8Ahのバッテリーで、週に5回片道5km利用し、5年後にバッテリーを買い換えたとした場合
5年間あたりの走行距離:50km×52週×5年=13,000km


   ちなみに5年間でのトータル充電回数は100回/年で「500回」となりそうだが、
   実際には経年で充電容量の低下が発生するため、3年目以降あたりからは
   こまめな充電が必要となり、5年目では毎日充電しなければならなくと思われる。


バッテリー代34,800円÷13,000km+電気代0.25円=2.93円/1km

となり走行コストはバイクとほぼ同額になってしまうのだった。

なんだ、バイクと変わらないならやっぱりバイクに・・・
と思うのは時期尚早。

バイクにも、自動車にもバッテリー交換はある。
バッテリーどころか、車検点検費用、駐車場代、自動車税、50ccでも自賠責、軽自動車税・・・
これを一つずつ加算していくと、バイクや自動車の1kmあたりのランニングコストは圧倒的に高くなる。

電動アシスト自転車のランニングコストはほぼバッテリーが占めているので、ついついこの部分を指摘されがちだが、トータルで考えれば、やはり圧倒的にコストに優れていると言える。

今回は8Ahで試算を出しているが、バッテリー容量が小さくなればランニングコストは上がり、大きくなれば下がる。
購入の際は、導入時のイニシャルコストだけで判断せず、自分の使用用途によってバッテリー容量を選んでみてはどうだろうか。



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