※ブリヂストンタイヤ=株式会社ブリヂストン
以前まで、いわゆるママチャリ用などの一般タイヤはIRC(井上ゴム工業)のOEM生産が多く、インドネシアが主な生産地であった。
それが最近ではCST(チェンシンタイヤ)への切り替えが進んでおり、上位グレードまでがほぼCSTの生産で、タイヤサイドにはMADE IN CHINAの表記がある。
よくある話で、自転車を買いに来たお客さんが
「ブリヂストンの自転車は物が良いのよ、中国製は信用できないわ。特にタイヤメーカーなんだからタイヤは最高のハズよね」
と、思わずツッコミたくなる会話は自転車店主なら誰でも耳にしたことがあるだろう。
もちろんこちらも商売なので否定などしないのだが、このようにブリヂストンブランドの持つイメージのチカラは素晴らしいご利益があるのだ。
個人的にBSCの好きでない部分として、ブリヂストンネームを前面に押し出した優良誤認にも似た商売戦略がある。
別に誤認を狙っているわけでも、粗悪品というわけでもないので、悪いことではないのだが、ユーザーの思い込みをあえて指摘しないというスタンスなのだ。
過去のインドネシア製の時代から、「Made In Indonesia」の刻印が、自転車のリムに装着すると見えなくなる位置に配置されているとか、フレームでも自社の中国常州工場での生産を示すステッカーはチェーンケース側の見えにくい位置に貼り付けるなど、良く言えば「賢い」、悪く言えば「ズルい」手法を採用している。
国内二位メーカーでライバルでもあるパナソニックに至っては、特に生産地を隠す様子もなく、見やすい部分に「日本製」や「中国製」などと素直に書いてあり、実に対照的だと思わせるものが多い。
こんなことを書いているとブリヂストンサイクルに恨みでもあるのか?と思われるかもしれないが、国内最大手がしっかりしてくれないと業界そのものが健全にならない、という大義名分に基づいた愛のムチだと思ってもらいたい。
EXTENZA軽量チューブ
鳴り物入りでデビューしたブリヂストンサイクルの新ブランド「EXTENZA」そのチューブもまた立派な箱に梱包されており高級感が漂っている。
またしても話は逸れるが、数年前にエクステンザのロードタイヤが発表されたタイミングで、かつての馴染みであり、現アンカーに在籍する選手たちにその評価を聞いてみたことがある。
その答えは、「ハイグリップでとても良いよ、下り攻めてもかなりイケるね」と、まさにカタログどおりのお手本回答であった。
若かれし頃は、なんでも本音で語り合えたが、大人になるというのはまさにこういうことかと苦笑した。
もちろん、エクステンザのロードタイヤはグリップ力を重視するプロの要望に応える立派な商品であるのは間違いない。
だが、かつてスピナジーの4本バトンカーボンホイールが登場した10数年前に
「これ大根切れるんじゃないの?」
と、ワイワイ騒ぎながらローラーに乗せて本当に大根を突っ込んでいた時代を懐かしく思ったりもした。
そのスピナジーは大根どころか人の指まで飛ばしてしまうという理由で禁止になってしまったが・・・
※商品の特性上、アンカーという実在する団体名を出していますが、内容はイタコによる証言であり事実かどうかは分かりません
話は戻り、さっそくチューブを見てみよう。
予想はしていたが、生産地は台湾との事。
しかもどこかで見たことのあるデザイン。
そして決め手はチューブに押された「CST」の文字。
やはりというか、ここもまたチェンシンタイヤの登場だ。
ちなみに、タイヤのほうは今回の主題と関係なく、あくまでエクステンザチューブについての内容となっている。
チェンシンタイヤって何?
正新輪胎 指名正新天天安心
現地のパッケージに書いてある企業スローガンは
正新(チェンシン)輪胎(タイヤ)指名正新(チェンシンを選べば)天天(日々)安心(安心)
という意味である。
一聞して中国っぽいネーミングではあるが、これは歴史ある台湾メーカーだ。
1969年の創業から発展を遂げ、自動車タイヤの市場シェア世界ランキングでは堂々一位のブリヂストンタイヤには遠く及ばないものの、近年では10位以内にランクインするなど、その評価は高い。
そして自社ブランドでもあるMAXXIS(マキシス)の名前は自転車界でも有名だろう。
そして自転車の世界ではかなり手広くOEMを手がけており、市場には知らないうちに装着車両が増え続けている。
例えば、比較的高級タイヤを履く電動アシスト自転車。
ブリヂストン、パナソニック、ヤマハと並べてみても、チェンシンタイヤ率は80%を超えているように思う。
(パナソニックは上位グレードのみ、自社企画の日本製パナレーサータイヤを採用)
また今回のチューブを見ても、フィクションサイクルが愛用中のタイオガ社チューブとの差異はまったく見つけることができないレベルであり、成型はそのままで、刻印やパッケージだけの変更で対応している物も珍しくはないようだ。
まあ、蓋を開けてみれば世の中に出回っている自転車用タイヤのほとんどは、中国、台湾、タイ、インドネシア製であり、日本製をしかり謳えるのはIRCとパナレーサーの中間グレードから上くらいなものなので、出処不明の商品よりは、しっかりチェンシンの台湾工場で作ってもらったほうが安心できる。
3社のチューブを比較してみよう
・ブリジストンサイクル
・マキシス
・タイオガ
実はこの3社は似たようなラインナップがあるのだ。
タイオガについては軽量チューブにも関わらず、消費マインドを掻き立てるハズの重量スペックがいっさい提示されていないという致命的な問題はあるものの、現品を計ったり伸ばしたり曲げたり切り裂いたりしても、その違いはよく分からなかったので、おそらく同じものなのだろう。
ただし、最軽量の50g台の製品はタイオガからのラインナップはなく、エクステンザとマキシスの独占状態だ。
その他の違いでは、マキシスの対応サイズが18~28Cと他の25Cの上限より許容範囲が広い。
しかしどんな自信があるのかは知らないが、さすがにあの細いチューブを28Cで使用するを躊躇してしまうのは自分だけではないだろう。
またマキシスとエクステンザではその重量に1gの違いがあるのだが、これは誤差の範囲であろう。
もしかしたら、台湾は赤道に近いため、地球の遠心力の関係で少しだけ軽くなるのかもしれないが・・・
「遠心力」+「万有引力」=「重力」ということで、3社のチューブに違いは無いという結論に達した。
地球上では、2つの力、「遠心力」と「万有引力」が合わさって「重力」として働きます。そして、場所による2つの力の違いが、重力の差、つまり“重さの差”となって表れるのです。例えば、北極で体重50㎏の人が赤道上で同じはかりに乗ったとき、約0.5%示す数字が小さくなります。従って赤道上では体重計の針は49.75㎏あたりを示すことになります。
https://www.city.akashi.lg.jp/community/danjyo_ka/kurashi/shohi/koho/documents/110keiryoupaneru.pdf
もちろんフィクションサイクル調べなので、「ゴムコンパウンドが絶妙に違うんです」、というメーカーの隠れた言い分が仮にあっても無視されているため、完全に信用されても困ってしまうが、それでも違いは無いと言い切りたい。
スタンプは完全に一致した。
もちろん、ブランド名は違う。
ただタイオガにはCSTの文字は無い。
念のためバルブ周辺も徹底的に比較するが、違いが見つかるどころか、一致するポイントしか見当たらない結果に。
3社から選ぶとしてEXTENZAチューブは果たして「買い」な商品か?
正直チューブなんてものは、軽くてパンクしなければ何でも良いと思っている。もしチューブ単体で乗り心地を語るのであれば、早々にラテックスチューブに移行することをオススメしたい。
しかし自分としては取り扱いが意外と面倒なラテックスチューブより、軽量なブチルチューブを好んで使っている面もあり、チェンシン系チューブはロードやMTBとジャンルを問わず採用している。
なぜチェンシン製かというと、品質が比較的安定しておりパンク発生率も高くないのはもちろんのこと、常に同じものが安価に手に入るからだ。
どんなに高級品だろうが軽量チューブであろうが、使用や経年での劣化は避けれない。
レースにしろツーリングにしろ、またはタウンユースにしても、とにかくパンクというトラブルは非常に大きなリスクだ。
であれば、常に新品チューブに交換してリスクを回避するのが賢い選択だと思う。
今回取り上げた3商品の「中間軽量グレード」はすべて同じものだ(と思っている)
その中でどれを選択するかは、いつも通っている自転車ショップが取り扱っているブランドでもいいし、ネット通販でセール品が出ていればそれでもいいだろう。
エクステンザチューブの最大の魅力は、自転車界最大手のブリヂストンサイクルが発売元であり、どこでも手に入る安定性や、万一の際の不具合にも即座に対応してくれる体制が存在するのは実にありがたい。
が、実は残念なことにエクステンザチューブの弱点をひとつだけ発見してしまった。
エクステンザチューブの些細な弱点
なんだその理由は?
と思われるだろう。
しかしそれが意外な盲点であって、コンパクトに収納されたチューブは折り目がきつい。
製造から日が浅ければ何の問題もないのだが、そのままの状態でしばらく保管していると、折り曲がった角の部分から密かに劣化するのだ。
ほとんどの人が経験がないと思うが、以前フィクションサイクルは長期在庫していた某V社のチューブを販売したところ、いきなりバーストするという謎のトラブルに遭遇したことがある。
交換しても交換しても次から次へと同じ状態になってしまうのだ。
仕入先に聞いてもそんな事例はないとの回答。
原因を調べるために複数本をチェックしたところ、みな同様にバルブ横から1cmあたりの部分に皺のようなクセがついていた。
どうやら箱に梱包された状態で内側に折り畳まっていた箇所のゴムが劣化して、微細なヒビが入ってしまったらしい。
それ以来、箱が小さく、なおかつ中でキツめに折り畳んである商品は敬遠してしまっている。
そしてマキシスについてだが、こちらの弱点はパッケージがビニールという点だろう。
なぜビニール包装がだめかというと、それは在庫を管理するのがめんどくさいからだ。
そう・・・、まさかの自転車店目線である。
ただでさえ種類が多く、かさ張るチューブ類。
ビニールパッケージは棚卸しのときなどでも、チェックするのが手間になるという理由だ。
その点もっとも素晴らしいのはタイオガということになる。
別にマルイさんの手先ではないが、タイオガチューブは種類ごとにカラーが分かれており、在庫の管理もとてもしやすい。
ただ良いのはその点だけで、パーツラックにたくさん吊るせる上に、箱の見栄えも良いエクステンザも捨てがたくはあるが。
つまり、自転車ショップでもなければ、棚卸しも関係ないといった方々には、どれを選んでも影響はほとんど無いということだ。
おすすめロード系チューブ「700 x 18~25C」ラインナップ
超軽量コーナー
48mm 60mm
48mm 60mm
軽量コーナー
48mm 60mm
48mm 60mm
36mm 48mm 60mm
レギュラーコーナー
48mm 60mm
48mm 60mm
36mm 48mm 60mm
やはりTIOGAが安い・・・
その昔MXインターナショナルさんの時代はやや割高の印象だったが、マルイさんが始めた辺りから価格が下がり、いつしかディスカントブランドとして一部の人達に認知されている気がしなくもない。
個人的にはタイオガはもっと評価されていいブランドのひとつだと思っているのだが・・・
※フィクションサイクルでは自転車用品を販売していません
※掲載しました内容につきましては大いに間違っている可能性がありますのでご注意ください
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