2015年12月22日

メリダ2016モデル「SCULTURA TEAM」が良い理由


TEAM LAMPRE-MERIDA が採用するCF4 lite MC フレームを搭載したレプリカモデル
チームからの要望により作られたオールラウンドなパフォーマンスを実現するSCULTURA CF4 lite MCフレームを採用。Shimano Dura-Ace やFulcrum Racing Zero Carbon など選手が乗るバイクと同じスペックで組み上げ、軽量、エアロ、剛性、快適性のすべてにおいてチーム基準を満たしたプロレーシングモデル。

個人的な意見だが、2016年メリダラインナップの中でもっとも輝いているモデルがこの「SCULTURA TEAM」だ。
そのフレームセット単体発売が¥269,000(税抜き)という、ホンモノのレース機材としては圧倒的破格で登場したのだから、触手が動かないわけがない。

ということで現在フィクションサイクルの店頭に入荷しているので、気になる人は手に取って確認して欲しい。



2015年では、メリダ自体の方針もあり、トップモデルとして位置づけられていたエアロロードの「リアクト」も素晴らしいバイクであったことは間違いない。
しかしやはり本格的なプロユースのマシンは、速さと引き換えに時にライダーに厳しい一面を見せることも多々あったであろう。

関連記事
REACTO CF TEAM(メリダ リアクトCF チーム)実車インプレ
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2014/10/reacto-cf-team-cf.html

すでに現役を引退して本格的に走ることがなくなったフィクションサイクルの店長マシンが、ここしばらくスクルトゥーラであることも、そういった理由からだ。
それに、もし勝ち負けにこだわるようなシーンであっても、スクルトゥーラをけっして緩慢なバイクだと思わせるような部分は微塵もない
まさに、メリダの宣伝文句そのものである。

初代SCULTURAが私達のラインナップに加わって以来、その名前は走行性能と快適性の両立の代名詞です。2016モデルとして登場した新型SCULTURAは、伝統的なロードバイクカテゴリーに新しい時代の到来を告げます。風洞実験により形状を最適化し、走りと快適性を失うことなくエアロロードに迫る空力性能を手に入れています。世界で最も優れたロードバイクのひとつである事に疑いはありません。http://www.merida.jp/lineup/road_bike/scultura_team.html

新しいSCULTURAの進化ポイント

2016年で大きく変化したのは、ブレーキレイアウトだけではない。
今回のフレーム計上はグレードによって金型自体が異なっているのだが、その差が表れるのが、「SCULTURA 6000」と「SCULTURA 5000」の間である。


       SCULTURA 6000

       SCULTURA 5000


SCULTURA 6000以上は「CF4 liteMCフレーム」であるのに対して、SCULTURA 5000より下位のグレードは「CF2フレーム」となっている。
メリダに確認を取ったわけではないが、この「CF2フレーム」はおそらく2015年モデル以前からの同形状のフレームであり、スタイル自体に進化はないと思われる。
一方「CF4 liteMCフレーム」はただリアブレーキがダイレクトマウントに変更されただけではなく、基本となる金型が変更されているのだ。
剛性コントロールにおいて邪魔者となるブリッジは廃されている。

新造されたフレームを良く見れば、トップチューブはほぼストレートになり、ヘッド周辺にも剛性強化の痕跡が伺える。
スクルトゥーラ最上級モデルであり、メリダ最軽量でもある「SCULTURA 9000」に用いられている「CF5 superlite MCフレーム」とも同形状のシルエットであることから、2016年での戦闘力アップに疑いの余地はないだろう。

スクルトゥーラだけがバーゲンプライス?

メリダのロード系ラインナップは3機種ある。
エアロロードの「リアクト」、オールラウウンダーの「スクルトゥーラ」、そしてエンデュランスレーサーの「ライド」だ。
それぞれのチームグレードのフレーム単体価格は次のようになっている。

REACTO TEAM-E
フレームセット ¥329,000(税抜き)
フレーム重量:980g (54cmサイズ)

SCULTURA TEAM
フレームセット ¥269,000(税抜き)
フレーム重量:800g (56cmサイズ)

RIDE TEAM-E
フレームセット ¥329,000(税抜き)
フレーム重量:980g (54cmサイズ)

スクルトゥーラ以外の2機種は「CF5フレーム」であることが要因と思われるが、価格差が6万円と大きく開いてしまっている。
しかし重量的にはスクルトゥーラの圧勝という逆転現象が起きてしまっているのは不思議な点だ。

もし純粋に「CF5フレーム」という括りで比較をするのであれば、他モデルのフレームと同価格のSCULTURA 9000を投入すべきであろうが、フレーム単体重量720gとあまりに軽量すぎるためプロの現場から外れ、TEAMの名前を冠することができなかったと推測される。

これが何を示すかといえば、スクルトゥーラのシルエットは高い次元で完成の域に入っており、最上級のマテリアルに頼らなくても、第一線で戦えるバランスを保っているということだ。

フレーム800g、フォーク265gは真実か?

もし本当であれば、素晴らしいフレームである。
そう思い、カタログ値と正確な比較のために56cmサイズを取り寄せて実測してみた。

結果としては非常に残念ながら、実測重量はカタログ値をオーバーするものだった。
もちろん、個体差があるため、誤解が広まらないよう、ここで具体的な値は公開しないが、フレームは10%程度、フォークは約20%の誤差があったことだけ伝えておく。

もしまた機会があれば、別の個体でチェックを行ってみたい。

ただひとつ気になるのがフロントフォーク265gというカタログ値だ。
あの世界最軽量ロードバイクと称される「TREK EMONDA SLR」のカーボンフォークは280gとなっており、90kgまでというライダーの体重にもリミットが設けられている。
それより更に15gも軽いというカタログ値は簡単に信用することはできない。

REACTO TEAM-Eがフォーク重量370g、RIDE TEAM-Eがフォーク重量360gという表記なのだから、265gは誤表記である可能性も考えられるが、真実は定かではない。
もちろん、それであっても最軽量クラスであることに変わりはないが・・・。

「さすがメリダ」と思わせる仕上がりの良さ


台湾屈指のトップメーカーの製品だけに、外からは分かりづらいカーボンフレームの内部に関しても、ほぼ完璧なクオリティーを誇っている。
最近では有名ブランドでも、がっかりするレベルのフレームが出回っているため、この部分でメリダは安心できる。

ちょっと余談になるが、いくら有名とは言っても、ヨーロッパブランドなどでは委託先の工場がさらに孫請け工場に外注したりするので、急激にクオリティーが下がったりすることがある。
もちろんメリダも外注先や台湾以外の製造ラインが無いわけではないのだが、トータルで品質を管理する面において、台湾に本社のある企業は強いように思う。

この話題を出せば、じゃあどこのメーカーなら安心できるのか?という話になることが多い。
台湾系で有名なのは、ジャイアント、メリダ、アイデアル・・・

なんと3位メーカーの時点ですでに一般人には超マイナー企業が登場するのだが、このように自転車界は謎だらけなのである。
とりあえずここでお伝えしたいのは、メリダは信頼していいということだ。

ちなみに世間に流れているOEM神話を絶対視しないほうがいいという話も付け加えておきたい。
メーカーの幅広いラインナップがすべて同じOEM先とは限らないし、発注先は都度変更されている。

その中で比較的に信用できるのは、「プロに供給している機材」と紹介されているものだ。
プロ用機材を所有することはステータスであると同時に、信頼の証明でもある。

フレームセットに含まれる付属品は?

いつも不親切に思うのだが、ミヤタサイクルの作成するカタログは情報量が不足していて、現物を手にするまで不明な点が多い。
ただでさえ、昨今のロード界は規格が乱立しているため、パッケージに何が付属して、何が付属しないのかを明確に知りたいところだ。

ということで、フレームセットに何が含まれているのかを見ていきたい。

FSAカーボンシートポスト(K-FORCE)

FSAヘッドパーツ+プレッシャーアンカー

FSAハンガーパーツ(BB-PF6000/EE096/SRAM GXP REDUCER)

Di2用ワイヤーキャップ+ワイヤーアジャスタ

MERIDAオリジナルボトルケージ


以上のメインパーツが同梱されており、コンポ換装であれば特別な小物を別途に用意する必要はなさそうだ。

付属品だけでシマノ製クランクをセットアップできる?

メリダの上位機種については、同台湾系列であるFSAの規格アイテムが多用される傾向にある。
特にここ最近進化が目まぐるしいBB規格は「BB386 EVO」となっている。

BB規格については他のサイトでも多く取り上げられているためここでは言及しないが、ある程度規格が煮詰まってきたインテグラルヘッドに対して、まだまだグダグダなのがBBだ。

「BB386 EVO」はアダプタ類も豊富なため、シマノ、スラム、その他サードパティー製クランクへの転用が比較的容易であり、現状での選択肢としてはベターだと思われる。

SCULTURA TEAMのBBサイズはシェル幅86.5mm、内径46mmとなっている。

今回付属するBBパーツは、FSAの「BB-PF6000」であり、装着後はBB幅86mm、内径30mmとなり、シャフト径30mm規格のクランクが使用できる。

また付属するアダプタでベアリング内径とBB幅を変換することで、シマノのホローテックⅡやスラムのGXPクランクにも対応可能だ。

ただ残念なことに、FSAの「MegaExo」はシマノと同様のBB幅90mm、クランク軸径24mmとされているが、実は完全な互換性があるわけではない。
付属品はあくまでFSA自社商品の「MegaExo」変換アダプタのため、どこにも「Shimano」という対応を示す表記はなく、クランク軸も24mmと謳いながら・・・

Shimano「ホローテックⅡ」
クランク軸径:23.95mm

FSA「MegaExo」
クランク軸径:24.00mm

と、わずか0.05mmではあるものの差異がある。

このため、よくある事例としては、完成車購入のロードに装着されてきたFSAクランクをシマノハンガーに移植しようとして、BBに嵌らなかったというトラブルがあげられる。
当初は情報が少なく、同じ24mmだから装着可能と信じて、無理やりベアリングを叩き込んでしまったメカニックも密かにいることだろう。

しかしその逆は可能であり、今回のような「FSA BB」+「シマノクランク」は装着することができる。
もちろん0.05mmの隙間が発生することについては自己責任の範疇となるので、不安があったり、完璧なものを求めるのであれば、スギノなどの正規品を用意するのがいいだろう。

フィクションサイクルでオススメしているのはスギノのセラミックBB。
高いシール性のためフリクションの大きいシマノ純正からの交換ではもっとも効果を体感できるはずだ。
ちなみにSRAMの「GXP」も同じ24mmスピンドルクランクの仲間ではあるものの、先端部分が22mmに先細るため、そういった微妙な間違いは発生しない。

すべてのパーツを装着した状態でBB幅は90mm、軸径は24mmとなり、このままシマノクランクが装着可能だ。

どのパーツを組み合わせるのかについては、バイクメカニックのノウハウなので、ここでは詳しくは説明しない。

最近ではネットで簡単に情報が入手できるようになり、自動車などと違い構造がシンプルなロードバイクはメンテナンスも個人で行えるようになってきている。
それは非常に喜ばしいことではあるが、一方で構造の根幹に関わる部分や、ブレーキ、ハンドル周辺の安全に関わる部分でおざなりな素人整備が目だってきているのも事実だ。

プロとアマの決定的な違いは、責任をどこまで持つかというところだろう。
自分のバイクを自分の手でいじることには誰も口出しはできないが、アマチュアが親切心から他人のバイクに手を出してしまうというのは、本人には自覚はないかもしれないが、とても恐ろしいことでもある。
少なくとも他人からお金をもらうプロというものは、常に責任を背負って作業を行っているということを、是非ともご理解頂きたい。

※フィクションサイクルはプロショップではありません。


SCULTURA TEAMのフレームセットをオススメしたい理由


コンプリートバイクの価格は\830,000(税抜き)とけっして安いプライスではない。
もちろん、その装備はどれも一級品であり、文句をつけるつもりはないが、フレームセットのお買い得感からすればその価値が霞んで見えるほどだ。
それほどまでにスクルトゥーラのフレームセットには魅力がある。

そもそもこのバイクに関心にある人たちは、お気に入りのコンポやホイールをすでに入手していることだろう。
もし11Sのバイクが手元にあって、どうにかグレードアップを狙うのであれば、SCULTURA TEAMへのフレーム換装は非常にお手軽であり、費用対効果も高い
新たに必要となるものはダイレクトマウント対応のリアブレーキくらいなので、そのハードルもかなり低いものだ。
近年のミヤタサイクルの努力もあり、認知度とその性能が世間に浸透してきたメリダ。
2016年は新城のランプレ・メリダ移籍のニュースもあり、ホットなブランドとなっているので在庫のあるうちに押さえておくのが吉だ。

メリダの在庫表をチェックしてる販売店は、このバイクがどれほど売れているか気づいているだろう。
すでにサイズによっては完売状態で数ヶ月のリードタイムが発生しているため、チェックしている人は急いだほうが良い。

※大変申し訳ございませんが、フィクションサイクルではメリダ商品を取り扱っておりません。たとえメリダ商品がヒットしても当店にはまったくメリットはありません。




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