2014年8月26日

Panasonic「ジェッター」におけるサスペンションフォークの換装


自転車のフロントフォークには様々な役割があるが、もっとも効果を体感しやすいのはサスペンションの動きだろう。
今回は純正でリジットフォークを採用しているクロスバイク、しかも電動アシスト自転車でのサスペンション取り付けを行ってみた。



フォークの規格さえ適合させていれば作業的にはポン付けといったところだが、「あくまで純正らしく」を目標に、慎重にサスフォークを選定する。
まずパナソニックのジェッター2014モデル「BE-ENHC644/649」のフロントフォークの仕様は下記の通りとなる。

・ホイールサイズ:700C
・コラム径:1-1/8(上下オーバーサイズ)
・コラム長:220mm以上
・対応アクスル:9mmクイック
・ブレーキマウント:Vブレーキ

まさに一般的なクロスバイクの規準ではあるが、廉価帯を除くとVブレーキマウントの選択肢は少ない。
さらにテーパーコラムだったり、15mmQRだったりと、条件は狭まり、そのような中でもすべての条件を満たしたのがSRサンツアーの「NRXシリーズ]だ。



品番は「SF13-NRX-S-P-LO-R-LITE-700」
最後に「CTS」と書いてあるが、CTS=テーパーコラムなのでおそらく記載間違いだろう。

この品番だが、単にフォークの使用を羅列したものになっている。
・SF→サスペンションフォーク
・13→2013年製品
・NRX→商品名
・LO→ロックアウト
・P→Vブレーキマウント
・MLO→メカニカルロックアウト
・700→700C
・OS→オーバーサイズ
・AH→アヘッド
全てではないが、このような感じと推測される。

そしてもうひとつ注意が必要なのがコラム長だ。
ジェッターのヘッドパイプは通常の自転車より長めなため、完成車外しのフォークを流用しようとしてもコラムが届かない可能性がある。
この車種に限って言えば、コラムは22cm以上は確保しておきたいところだ。

続いて作業に入る。

コラムをカットし、スターナットを打ち込む





純正フォークを分解

下玉押しを外す

新しいフォークへ打ち替え

ステムを合わせてコラム長とスペーサーを調整する。
その他ハンドルやブレーキを元に戻し組み上げる。
ここまでは特に問題はないのだが、この後に電動アシスト特有の難関が待ち受ける。


最近の電動アシスト自転車には走行速度を測るマグネットセンサーが付いているが、この処理をしっかりしておかないと、アシストが効かなかったりエラーが出てしまうなどの問題がある。
確実にピックアップセンサーを固定するため、マグネットホイールを右側から左側へと移設する。

マグネットホイールをディスクローター側へ移動。
もちろんディスクブレーキ仕様では不可能だが、Vブレーキのままなのでスペース的にはこれがベストな選択だろう。

ピックアップセンサー用にブラケットを作成。
何度も試走を繰り返し位置決めを行う。
ブラケットの固定にはポストマウントの台座を活用。

やや問題だったのが、センサーの微妙な位置の違いにより、速度が2倍で検出されるというトラブルが発生した。
マグネットホイールには合計6個の磁石が入っており、車輪一周で6回ピックアップが反応するはずなのだが、テストモードにて12回の反応が確認された。
これは分解していないので推測になるが、おそらくピックアップには2系統のセンサーが組み込まれており、取り付け位置によっては1個の磁石を2回読み取ってしまうのではないかと思われる。
上の写真の通り、ピックアップの半分をマグネットホイールから遠ざけたところ、この不具合は解消された。

これで交換の作業はすべて終了となる。
当初の予定通り、「あくまで純正らしく」というテーマに沿う形で、特に派手な加工などは行わなかったが、メンテナンス性を含めてのトータルバランスはかなり良いほうだと言えるだろう。





そして気になる乗り味だが、エア圧を最低限に抑えたサスの動きは非常にソフトで、ちょっとした段差の存在をかき消してくれているようにも思える。
セッティング的にはアップライトなポジションに柔らかく上品に動くサスペンション、そしてこれに電動のパワーが加わることにより、「頑張らなくても速くて快適」という、まさに「アーバンライド」にピッタリな1台に仕上がった。





最後にもうひとつ
今回の作業で発見したポイントだが、SR SUNTOURのこのフォーク、アウターレッグのブリッジ裏にネジ穴があったのだ。

通常の廉価版フォークは貫通穴が開いていることが多いが、これは表からは見えないようにさりげなくオプションパーツの拡張を可能としている、なかなかの配慮だと思う。
正直「SR SUNTOUR」のフロントフォークは有名ブランド品と比較すれば人気は控えめながら、性能的には世界でもトップクラスだろう。
これならば、あの有名メーカーもOEMを発注する理由は分かる。
また日本国内でSR SUNTOURを使用するメリットだが、代理店の対応の良さがあるだろう。
現在はライトウェイジャパンがメインで取り扱っているが、スモールパーツのデリバリーやWEBで確認できるサービスマニュアルなど、かなりきめ細かく対応している。
このくらいしっかりやってくれるからこそ、販売店としても安心だし、今は「きつねさん」を有難がっているユーザー達も、そのうち気が変わるかもしれない。

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