2012年7月22日

Vブレーキとカンチブレーキに関する問題点

ブレーキ本体ではなく、ブレーキレバーについて言えば大きく分けて二つの規格に分類される。
Vブレーキ用カンチブレーキ用だ。
自転車の長い歴史において、ワイヤー式ブレーキレバーの引きシロに関してはしばらく各メーカーがほぼ同じ設計をしていたため、アッセンブルでも高い互換性があった。
しかしVブレーキの登場で統一だったブレーキワイヤーの引きシロにそれぞれの規格に変化が見られるようになった。

Vブレーキは従来のブレーキと比較して、ワイヤーストロークを多く必要とするのが特徴だが、反対に言えばワイヤーを引っ張る力が弱くなっているとも言える。
レバーの構造でリンク比(てこの原理)を変化させているため、操作している人間には実感として伝わって来づらいが、それ故に間違った組み合わせが発生しやすく、使用方法を誤った場合には大きな事故に繋がる可能性も高い。

ちなみにVブレーキとはシマノの商品名であるため、他メーカー商品はロングアームカンチと呼んでいるが、Vブレーキとういう名称が定着しているため、ほとんどその名称を使うことはない。
また、以下カンチブレーキをCブレーキと書く。

それぞれのブレーキの特徴
・レバー操作によるワイヤーのストローク量
 Vブレーキ 大
 Cブレーキ 小
・ブレーキ本体を作動させるのに必要な力
 Vブレーキ 小
 Cブレーキ 大
・各ブレーキのタイプ別の規格分類
 Vブレーキ Vブレーキ、メカニカルディスクブレーキ
 Cブレーキ カンチブレーキ、キャリパーブレーキ(ロード&ママチャリ)、
         ミニVブレーキ、ローラーブレーキ、サーボブレーキ、ドラムブレーキ、その他

以上のように、Vブレーキと、Vブレーキの延長線上に登場したメカニカルディスクブレーキだけが独自の規格となっている。
これらの組み合わせを間違うとどのような弊害がおきるかを考えると・・・

Vブレーキレバー×Cブレーキ本体
・操作によりワイヤーを引っ張る力が弱く、Cブレーキで十分な性動力を得られない。
Cブレーキレバー×Vブレーキ本体
・ワイヤーのストロークが小さくなり、ブレーキング操作がシビアになる。
・ブレーキシューの可動幅が狭くなるため、リムとのクリアランスが確保しずらくなる。
・通常通りレバーを操作すると予想以上の制動がかかるため、前輪の場合ジャックナイフの危険性がある。

従来であればブレーキの組み合わせについては、さほど気を使わなくても良かったが、近年のVブレーキの普及により、誤った組み合わせが起こりやすい環境にある。
また、MTBのドロップハンドル化(STIレバーはCブレーキ規格)やロードレーサーのフラットハンドル化、補修部品の少なくなったCブレーキMTBのVブレーキ化など、注意が必要な点が多い。

また電動アシスト自転車や幼児二人同乗タイプの登場で、高い性動力が必要となり、フロント側のみVブレーキを純正で採用するメーカーもある。

ブリヂストンの「HYDEE.B」などはまさにその典型モデルとなっている。

フロント側 Vブレーキレバー(Vブレーキ)

リア側 カンチブレーキレバー(ローラーブレーキ)

ワイヤーのタイコを保持する部分のリベットの位置が違うことが分かる。
しかし両者のレバーの違いはこの部分のみのため、外観からは判断がつかない。
フロント側(Vブレーキ)の方がレバー自体のリンク部からワイヤーが遠い場所で固定されており、ワイヤーストロークに違いがある。

またパナソニックの「EZ」はさらに面白い構造となっており

フロント側 Cブレーキ(キャリパーブレーキ)

リア側 Vブレーキレバー(Vブレーキ)

このようにブリヂストンとは正反対の仕様だ。

個人でブレーキレバーを交換するなどの場合は、見た目が同じだからと言って安易に判断すると事故に繋がりかねない。
ブレーキに関する問題は必ず専門家に判断してもらうのが懸命と言えるだろう。

※フィクションサイクルでは豊富な経験と知識を持ってはおりますが、お客様の広いニーズにはお応えしておりません。

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