2013年9月1日

未来の「スポーツ電動アシスト自転車」はこうなる予想 【後半】

前半ではこれまでのスポーツEBの歴史を振り返ってみたが、ここからは未来のトレンドについて予想してみる。


未来の「スポーツ電動アシスト自転車」はこうなる予想 【前半】
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2013/09/future-forecast-of-electric-bicycle1.html


まずユニットの種類と搭載位置についてだが、自転車乗りでなくとも、重量物はセンターにそして限りなく低い位置に置くことが定説となっているが、電動アシスト自転車も例外ではない。
その点において、現在主流のパナソニックやヤマハ/ブリジストンはかなり良い線を行っている言って間違いない。
それぞれメリットとデメリットが考えられるが、大きく分けて3つのタイプに分類される。

センターモーター

メリット:
重量物が中心に来るため理想的な重心としやすい。
トルクセンサーとモーターが一体化できる。

デメリット:
完全に専用設計のフレームが必要。
フロントに変速機構を組み込めない。
※ただし新型ボッシュユニットは組み込める。



フロントハブモーター


メリット:
回生充電機構が組み込みやすい。構造が簡素化できる。

デメリット:
フロントに重量が集中しやすい。トラクションが掛かりにくい。
クランクかリアハブ周辺にトルクセンサーが別途必要になる。


リアハブモーター

メリット:
ダイレクト駆動で高出力ユニットが組み込める。構造が簡素化できる。

デメリット:
リアに重量が集中しやすい。ホイールや変速関係の自由度が低下する。
クランクかリアハブ周辺にトルクセンサーが別途必要になる。


以上より、今後はやはりセンターユニットとリアハブユニットが主力になるだろうと予想。
残念ながらフロントハブについては完全に廉価帯に移行したようで、新商品は出ていない様子だ。
トルクセンサーは、人間が踏み込んだ力を検知するためのセンサーだが、これをどこかに付けなければアシストは成立しないため、モーターとセンサーをセットにしたユニット式は非常に理にかなっている。
また最近ではBionX(ヴィオニクス)などもリアハブ内にトルクセンサーを置くなど進化している。

次にバッテリーの搭載位置について。


センターマウント


メリット:
センターユニットとの組み合わせで相性が最高となる。
重心もセンターになり、余計な配線類が不要。

デメリット:
ホイールベースが長くなり、リアセンターが延びるためスポーツ車に不向き。
専用フレームが必要となり、デザインの自由度が限られる。


リアキャリアマウント

メリット:
フレーム形状にまったく依存しないため、どのタイプのフレームでも採用できる。
バッテリーの形状も自由度が高い。

デメリット:
リア周りに重量が集中してしまい、スポーツ車では挙動に影響しやすい。
キャリアが必要となってしまう。配線が長くなり防水面からも不向き。

フレーム内蔵式

メリット:
フレームと一体化するため、デザイン的にシンプルにできる。
転倒などでもダメージが少ない。重量をセンターに集められる。

デメリット:
専用設計のフレームが必要。
容量アップなどの形状変化に対応できない。


ボトルケージマウント

メリット:
一般的なダイアモンドフレームならほぼ対応できる高い汎用性。
バッテリーの設計も自由度が高い。大容量でもセンターにマウントできる。

デメリット:
デザインに大きく影響していしまう。
大きいバッテリーを搭載すると、自転車を担ぐことができなくなる。


以上が各種のマウントとなる。
実際に増えているのは、ボトルケージマウントだが、これはバッテリーとユニットをセットで供給するユニットメーカーが汎用性を重視しているからだと思われる。
一見すると、フレーム内蔵式が優位なようだが、普及という点から考えれば、ボトルケージマウントが市販車には採用される可能性が高い。

【前半】でも例を挙げたが、2013~14年のスポーツEBはほぼタイプの組み合わせが決まっている。


センターモーター × ボトルケージマウントバッテリー
・Atala (B-Cross Bosch)
・AVE (XH5-26" (Backflip’s not required!) E-Line C-29 Bosch)
・Bergamont (E-Line C-29 Bosch)
・BMW (Cruise e-bike Bosch)
・Carraro (005 20NOVE E NERGY Bosch)
・Centurion (Backfire Ultimate E.29 Bosch)
・Conway (2014 Bosch)
・Corratec (E-Bow Bosch)
・Cresta (E-Drive Montana Bosch)
・Crosswave (Meral/Diamant 28" Bosch)
・GIANT (Talon E+ E-Bikes 2014 Yamaha)
・Kalkhoff (ENDEAVOUR BS 10 10-G Bosch)
・KTM (Macina Race 400 Wh 29" Bosch)
・Haibike (eQ Xduro RX Bosch)
・Hercules (Robert/-a 10 CR Bosch)
・Merida (Big.Nine E-Lite 900 Bosch)
・Moustache (Samedi 28 9S Bosch)
・Nicolai (Bosch)
・Peugeot (E-City Herrenfahrrad CE-21, SLX 30 Bosch)
・Rotwild (Bosch)
・Scott (E-Aspect 29 Bosch)
・Villiger (Lugano Super Deluxe+ Bosch)
・Whistle (B-Ware Bosch)
・Velo de Ville (EBX800 Bosch)

センターモーター × センターマウントバッテリー
・BH (E-motion city wave 2013 Panasonic)
・Bottecchia (BE4 26 Rondine China)
・Bridgestone (Yamaha)
・Flyer (Serie X - 27.5"/29" XT Deluxe SE Panasonic)
・Focus (Jarifa Panasonic)
・GIANT (Twist Freedom 2 Yamaha)
・Gepida (Reptila 900 26" Yamaha)
・Kalkhoff (Agattu P8-36 Panasonic)
・Panasonic (ViVi)
・Peugeot (E-bike 2013 Panasonic)
・Raleigh (E-Bikes Dover 3Spd Panasonic/2013 IMPULSE)
・TDS (Impuls TR)
・Yamaha (PAS)

センターモーター × リアキャリアマウントバッテリー
・Cannondale (E-Series Bosch)
・E-Racer (Limited Bosch)
・Ibex (Avantgarde Bosch)
・Velo de Ville (VDV EB80 Bosch)

リアハブモーター × ボトルケージマウントバッテリー
・Bianchi (E-Metropoli Panasonic)
・BiXS (E-Access)
・Cube (Epo 29)
・Dolphin (Express)
・Focus (Jarifa Offroad)
・Flyer (Vollblut Panasonic)
・GIANT (Talon 29 Hybrid)
・KTM (e-Race P BionX/Panasonic)
・Mondia (E-600 8-Fun 250W/Hinterrad/Panasonic Lithium-Ion 36V/11.6Ah)
・Mustang (E-Motion BionX)
・Wheeler (E-Falcon BionX)
・UNIVEGA (Alpina HT-E70 30-G XT XION)

リアハブモーター × フレーム内蔵式バッテリー
・BH (Neo E-Bike Xtreme Dapu 350W Geared Hub Motor/Samsung Li-Mn 36V 9Ah)
・Cosworth (Storck Swiss-built motor)
・eflow (e bike FBMC)
・GHOST (E-Hybride SE29)
・Grace (Pro E-bike)
・Smart (ebike)
・Specialized (Turbo S)
・Stockli (e.t.cross)
・Storck (Raddar Swiss-built motor)
・Stromer (ST1 Platinum Power 48)
・Villiger (Silvretta Supreme +)


リアハブモーター × リアキャリアマウントバッテリー
・GIANT (Escape Hybrid 2)
・KOGA (E-bike)
・Montego (Elan 8sp)
・Rock Machine (Powerflex 24)
・Simplon (Kagu E0)

リアハブモーター × センターマウントバッテリー
・ebike factory china
・Wisper (705se/905se)


その他
・BionX (汎用リアモーターユニット)
・Falco eMotors (汎用ユニット)
・Gocycle (G2)(フロントモーター内蔵式バッテリー)
・Vivax (BBシャフトダイレクト駆動)
・Watts (Mamba)(フロントモーター)
・Z-bike (汎用フロントモーターユニット)

参考サイト「ebike ticino」

※それぞれリンクと画像を貼るのは手間なので、詳細を見たい場合はイメージ検索してください。

2013年での海外モデルを検索してて思ったことは、あまりにも電動アシスト自転車に参入しているメーカーが多いことに驚いたということだ。
日本では有名どころは3社しかない。
ところが海外では大手メーカーが次々とラインナップを拡大中だ。
ユニットサプライヤーとしては、やはりBoschが強いようだが、日本のパナソニックやヤマハの文字も見受けられる。

意外だったのは、日本国内で主流のシートピラーとリアホイールの中間にバッテリーを置く方法がパナソニック、ヤマハを除いては皆無に近いことだ。
そしてもうひとつ気が付いたことがある。
センターユニットがコンパクトになっているような気がするが、これは出力ギアがどこにも見られないことから、おそらくチェーンリングと一体化したのではないかと思われる。


15年以上前のヤマハPASのユニット


2002年頃のパナソニックViViのユニット

左側の図を見て分かる通り、出力のギアとチェーンリングは別ものとなっている。
これはヤマハも同様に10年ほど前に変わっており、現在まで続く機構だ。

ところが最近のボッシュのユニットを採用したモデルを見ても、ギアはチェーンリングのみとなっている。

ボッシュのユニットでイメージ検索した結果



やはり、出力用の小さいギアは存在ない。


そして来年からジャイアントとの提携が決まったヤマハの海外用ユニットも調べてみた。



やはり存在しない。
そしてヤマハの図面には「Yamaha Next Generation」の文字が見える。
昔の資料によれば、“電池が切れたら重い”という問題を回避するために、ギアを2枚にする必要があったとのこと。
つまりこれが不要になったということは、新しい技術革新があったということだろう。
ネクストジェネレーションという言葉が意味するものは何なのだろうか?
もしかしたら、2014年は電動アシスト自転車に大きな変化があるのかもしれない。

そしてもうひとつ気になったのが、スイスのBiketec AGという会社が取り扱う「Flyer」というブランド。
ここのラインナップは「Motor de 250 W Sport Panasonic」という表記があり、ユニットやバッテリーが日本のものとまったく同じ(に見える)である。
その中で見つけたのがこの動画

VollBlut FLYER E-bike 500 Watts 45 km/h bicicaffe Panasonic Purosangue Test


なんとも怪しい動画ながらそのスペックは
Bicicletta Elettrica FLYER VollBlut "Purosangue" con motore Panasonic 500 Watts 
Velocita 45 km/h 
Massima Performance in salita
E-bike selected from bicicaffe Test 

出力500Wで最高速度45km/h
パナソニックは意外にも、ものすごいバイクを作っていたのだった。
ちなみに話題になったスペシャライズドターボは出力250Wで最高速度45km/h。

日本基準でいいので早く発売されないものかと願うばかりだ。


未来の「スポーツ電動アシスト自転車」はこうなる予想 【前半】
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2013/09/future-forecast-of-electric-bicycle1.html

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