2015年2月27日

Albelt-E

ついに全国に向け出荷が開始されたブリヂストンサイクルの「アルベルトe」
かつてはサンヨーが発売していたオーソドックスなフロントモーターにブリヂストンお得意のベルトドライブの組み合わせ・・・
と実車を見るまで既成感が拭えなかったのだが、実はこの「アルベルトe」の完成度はそんな甘い思い込みを見事に裏切ってくれるものだった。


「今度当社でもオリジナルの電動アシスト自転車を販売するんで、ぜひ試乗車を置いてくださいよ」
こんな担当セールスの口説き文句は全国の自転車店店主の耳にも新しいところだろう。
正直なところ、独自で新規に始めたと聞くと、トラブルの危惧や、既成メーカーに劣るのではないかと、内心様子見しようかと思ってたところだった。

しかし実際の商品が届いてみれば、ブリヂストンが新ユニットにかける執念が、中途半端なものでないことはすぐに分かった。
主なスペックはプレス発表でも出ていたし、新車説明会では試乗車も出ていたので、大体の内容は理解しているつもりではあったが、今回は組立→試走→分解の工程を経て、ようやくその凄さが飲み込めてきたのだ。





商品概要についてはすでに様々な場所で取り上げられているため、ここであえて言及はしない。
他とは少し違う、フィクションサイクルの目線で各部に迫ってみたいと思う。

まず最初に思ったのが、このアルベルトeは細部までよく考えられ、そして試行錯誤を繰り返した形跡があることだ。
一般的にはあまり知られていないが、ブリヂストンサイクルは自社のフラッグシップモデルである「アルベルト」の名前をいきなり新商品に冠するような危険行為は行わなかった。
彼らは2014年に販売店を限定するカタチで「eBELT(エベルト)」という同様のコンセプトの商品を販売している。
エベルトは商業的に成功したといえば、そうではないだろう。
しかし次の一手への布石としては十分な役割を果たしたと見て良い。

少し話は脱線するが、ブリヂストン(以下:BS)にとって自社オリジナルの電動ユニットは、まさに垂涎の一品だったに違いない。
なぜかと言えば、日本でトップシェアを誇るBSと言えども、電動アシスト自転車の世界においては、「ヤマハ」という強い親の陰に隠れるように、いまいちシェアを伸ばせずにいたからだ。
ご存知の通り、ヤマハとBSはバーターで今までやってきたのだが、やはり心臓部であるユニットとバッテリー技術を掌握するヤマハと同じ商品で真っ向勝負するというのは分が悪い。
もし自社でユニットがまかなえるようになれば、それだけで相手への外交カードになるということだ。

BSオリジナルのフロントモーター


次世代電動アシストを演出する青色LED

さて、まず一番最初に目を引くのは、なんと言っても青いLEDだろう。
そんなところか?と言われるかもしれないが、日本のトップ2であるパナソニック、ヤマハの両陣営とも、未だ商品化が出来ていない部分だ。
このLEDの色使いは徹底されており、スイッチおよびバッテリー本体の残量系に使用されている。


充電器のケースまでがツヤありのブラックで統一されており、上質な雰囲気を演出している。
こういった見た目も所有欲を満たすためには重要な要素だ。
もし難点があるとすれば、それは視認性が赤色LEDより劣るというところだろう。
日差しの強い屋外では、意外とこの青色LEDが見えにくいのだ。
ちょうど信号機を想像してもらえらば分かりやすいと思うが、視認性において赤色LEDは最も優れているのは明白だ。
しかし、そこまで見えにくいということもなく、実用面では特に不便は感じなかった。

そしてもうひとつ、どうでも良いような発見だが、電源をONにしている間は、バッテリー本体の残量計は確認ボタンを押しても点灯しないため、ハンドルスイッチ部分での表示に集約されるようだ。


完成度の高い仕上がり

次に最も重要であるアシストユニット関連についてだが、これにも自転車屋目線で関心させられるポイントがあった。

 配線類は収納ケースに収められており、シンプルな仕上がり。
回生モードを検知するためのセンサーも左側(リアブレーキ側)だけという割り切った構造だが、それが功を奏したカタチだ。

ハンドルスイッチとコントローラー(Think-Box)を結ぶケーブルの途中にも分割カプラが設けられており、スイッチ交換の度にユニット周辺までカバーを開けなければいけなかった従来型での不満点が改善されている。

ブレーキング操作を認識するためのブレーキレバー内蔵マグネットセンサー
これらは回生モードへの切り替えや、停車時でのモーターアシストをOFFにするためのものだ。
推定ではあるが、このスイッチはパナソニックのビビチャージシリーズのものと酷似していることから、テクトロ社が供給しているものと思われる。
ただし、センサーは左側のみ、そしてハンドルスイッチに直に接続されている構造は、パナソニックではなく、サンヨーの「エナクル」や、CBあさひの「エナシス」と同様の方式だ。



つづきは週末くらいに書きます!


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