2015年10月31日

TIOGAコクーンはグレーな商品?輪行袋の賛否

自転車の楽しみ方のひとつとして、電車と自転車を組み合わせた「輪行」という手段がある。
目的地までは電車などの公共交通機関を利用し、そこから自転車でスタートするというものだ。

その歴史において、古くは競輪選手が遠征試合の時に、行っていた行為が広く一般に浸透したものであり、実は輪行という言葉の語源は、読んで字の通り、「自転車で走って行く→輪で行く」という自走を差したものだと言われている。

鉄道による輪行の歴史かつて、交通機関として自転車と電車は競合するとして、競技の道具と明確化できるアマチュア登録選手、競輪選手にしか輪行が許可されなかったが、日本サイクリング協会が「趣味としてのサイクリング用」として認知させることで一般サイクリストにも道を拓いた。許可制だった当時は、日本サイクリング協会会員のみの許可(会員証提示)、更に帆布製の輪行袋を使用する事が義務づけられていた。その後、会員証提示の廃止を経て、運輸省(当時)からの通達を受け、1999年1月1日以降、JRと営団地下鉄(現東京メトロ)については、手荷物料金が不要となり、自転車を無料で持ち込めるようになった。一方で、私鉄は、手荷物料金が必要な事業者と無料の事業者に対応が分かれている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/輪行



鉄道会社の規定

ここではJR東日本の規定を見てみよう。

旅客営業規則 - 第10章 手回り品(無料手回り品)
第308条
旅客は、第309条に規定する以外の携帯できる物品であつて、列車の状況により、運輸上支障を生ずるおそれがないと認められるときに限り、3辺の最大の和が、250センチメートル以内のもので、その重量が30キログラム以内のものを無料で車内に2個まで持ち込むことができる。ただし、長さ2メートルを超える物品は車内に持ち込むことができない。
旅客は、前項に規定する制限内であつても、自転車及びサーフボードについては、次の各号の1に該当する場合に限り、無料で車内に持ち込むことができる。
(1)自転車にあつては、解体して専用の袋に収納したもの又は折りたたみ式自転車であつて、折りたたんで専用の袋に収納したもの
(2)サーフボードにあつては、専用の袋に収納したもの
旅客は、列車の状況により、運輸上支障を生ずるおそれがないと認められる場合に限り、次の各号の1に該当する犬を無料で車内に随伴させることができる。
(1)身体障害者補助犬法(平成14年法律第49号)第16条第1項に規定する認定を受けた身体障害者補助犬。ただし、同法第12条に規定された表示を行い、旅客が身体障害者補助犬認定証を所持する場合に限る。
(2)道路交通法(昭和35年法律第105号)第14条第1項にいう政令で定める盲導犬。ただし、盲導犬がハーネスをつけ、旅客が盲導犬使用者証を所持している場合に限る。
(注)旅客が、自己の身の回り品として携帯する傘・つえ・ハンドバッグ・ショルダーバッグ等は、第1項に規定する個数制限にかかわらず、これを車内に持ち込むことができる。

ということで、注意すべき点は、
・3辺の合計が250cm以内であること
・長さ2mを超えないこと
・重さ30kgを超えないこと

この3点が大きなポイントとなってくる。
しかし、近年ではサイクリストの増加やゴミ袋輪行(他のサイトを参照)などのモラルの低下により、より厳格な規定が設けられているので、これ以外にも注意は必要だ。

JR北海道
https://www.jrhokkaido.co.jp/network/guide/ryokaku/02_10.html
JR東海
http://railway.jr-central.co.jp/ticket-rule/cjr-regulation/_pdf/000021419.pdf
JR西日本
http://www.jr-odekake.net/railroad/ticket/guide/stipulation/pdf2015/covenant2-10.pdf
JR四国
http://www.jr-shikoku.co.jp/02_information/kippu_info/kippu_sonota.shtm#kippu_info_temawari
JR九州
http://www.jrkyushu.co.jp/trains/goriyou.jsp#14

この中のJR各社で異なるポイントは2点
他のブログなどでも取り上げられているが、JR四国では更に収納方法の厳格化が記載されていることと、もうひとつはJR九州においては、スポーツ用品、楽器、娯楽用品などは、長さの制限を超える場合であっても車内で立てて携帯できるものは2m規定の限りではないとされているところだ。

JR四国のルールでは
・専用の収納バッグであり、破れない、ほつれない素材であること
・すべての部分が収納されていて、一部でも露出してはいないこと

この部分が明確にされている。
そして具体的な情報は見つからなかったものの、ブロンプトンなどの転がし輪行を駅員に止められる事案が多数報告されているが、これもまた、車体の一部の露出と捉えられ禁則行為に接触したためと見られている。
合わせて車内だけでもなく、構内でもその延長線にあるとして規則の適応範囲に含まれているのだろう。

タイオガコクーンは大丈夫なのか?

これは個人の見解であり、許可するのは鉄道事業者なので確実なことは言えないが、コクーン使用において最もネックとなりやすいのが3辺の合計サイズだろう。
もちろん上記の絵の③番やサドルが袋から出ている状態などは今や論外だ。

様々なタイプの存在するコクーンの中でも一番大きいのが29erコクーンだが、まずこのサイズを確認してみよう。

29er コクーン スペック
210 デニール ナイロン
撥水加工
固定用ストラップ 4本付
ショルダー ストラップ付
収納ポーチ付
L1,700 x H980mm
475g
縦横の合計が2m68cmであり、すでに最大値である2m50cmを超えてしまっているように見える。
しかし、実際には幅の部分があるため、このようにはならない。

実際に29erコクーンに26インチのMTBを収納してサイズを測定してみた。

26インチMTB収納後のサイズは?

26MTBといっても、150mmストロークのサスペンションに700mmオーバーのハンドルという下りスペックのハードテールなので、それなりの大きさがある。

全長142cm

高さ88cm

全幅19cm

このように実測では249cmと、規定まで紙一重のサイズとなったが一応は規定をクリアできた。
最大長さも2mには至っていない。(袋に余裕があるため実際にはもう少し小さい)

ただし29erコクーンだからといって、実際に29erを収納して電車に持ち込むのはやはり規則的な話をすれば少し厳しいのだろう。
700cロードや27.5インチMTBまでなら、なんとか寸法的には大丈夫だと思われる。

MTBの場合、長いハンドルを取り外せは29erでもかなりコンパクトになるため、輪行前にあらかじめ収納後のサイズを確認しておくのがいいだろう。

コクーンタイプ最大のメリット

オーストリッチの超速FIVEの謳い文句にもあるように、後輪を脱着しないタイプの輪行バッグはその収納にかかる時間を大きく短縮するとともに、整備に不慣れなビギナーでも組立ての際の不安が少ないなど、その利便性は「かんたん」である部分にスポットが当てられてきた。


しかしフィクションサイクルがコクーンタイプをオススメしている理由は別の部分にある。

自転車においてもっとも弱い部分はどこか?
それはおそらくリアディレーラーなどを含むリアエンド周辺だ。

リアホイールを取り外してしまうとこのウイークポイントが外周部に晒され、軽いヒットでも致命傷を負うことになる。

先日旅行で訪れた小さな田舎町の自転車屋の店主と話していた時だったが、輪行でやってきた旅のサイクリストが、ロードのエンドがもげてしまったので直して欲しいと店に持ち込んできたことがあった。
当然、そんなレアな自転車のリプレイスメントエンドなど、この町中を探しても見つからないだろうと、心中では思ったが、やはり輪行に不慣れな人間が起こすトラブルとして、この問題は想定されるものだ。

もしこのお客さんがコクーンタイプを使っていれば、楽しい輪行サイクリングの思い出だけで終わったのだろうと思う。

関連記事
もし1ピースのリアディレーラーハンガーが折れたら
http://fiction-cycles.blogspot.jp/2011/11/1.html

自分もよく輪行を行うのだが、それは鉄道ではなく、自動車と飛行機の組み合わせが多い。
預けた荷物を手厚く取り扱ってくれる保証などどこにもない国際便を利用する場合は、多少サイズが大きくなってもコクーンタイプを使うのが安心だ。
自転車の普及している国ならともかく、自転車未開の発展途上国の空港についた途端にエンドがお亡くなりになっていたのでは、せっかくのテンションもダダ下がりになること間違いなしだからだ。

たくさん種類のあるコクーンはどれを選べばいいのか?

・フレックス コクーン
 ¥5,200+税
・スーパー ライト コクーン
 ¥5,400+税
・コクーン プラス(ポーチ/ボトルタイプ)
 ¥4,800+税/¥5,000+税
・コクーン (ポーチ/ボトルタイプ)
 ¥4,000+税/¥4,200+税
・29er コクーン
 ¥5,100+税
・ミニベロ コクーン
 ¥4,000+税
http://tiogajpn.com/products/carryingbag/top.html

最近ラインナップの追加されたコクーンは現在のカタログで8種類にも及ぶ。
このうちのいくつかは、JRの規則改定を受けてのものだろう。
フレックスは伸縮性のある素材でサドル部分が露出しない作りとなっており、プラスは外したサドルが収納できる袋がセットになったパッケージだ。

ポーチタイプとボトルタイプはバッグを収納するのがボトル型のハードケースか、ソフト生地のポーチかという違いだが、ボトルタイプにはポーチも附属するので、迷いがあるならボトルタイプを選べば間違いは無い。

フィクションサイクルのオススメは29erコクーンなのだが、それは他のコクーンが70デニールという薄手のナイロン素材なのに対して、210デニールという約3倍の厚みを持っているからだ。

もちろん軽いほうが良いという意見もあるだろうが、電車内でバッグが破れて突起部分が露出してしまうトラブルに遭遇するよりはマシだろう。
それに国際線の飛行機に載せた場合、210デニールでも部分的に小さい穴が開くことは避けられず、もしこれが70デニールであれば自転車へのダメージもそれだけ大きくなるということだ。

何が起こるか分からない輪行。
出来る限りの備えをしておいて後悔することはないだろう。

※タイオガHPではコクーン(ボトル タイプ)のみ415g (ブラック) 、425g (シルバー)の表記のため修正して記載

飛行機に乗せる際のコツ

コクーンには4本のナイロンベルトが附属するのだが、この固定力ではやや不安が残る。
もし遠征や旅行で自転車を飛行機に乗せるならば、資材梱包用の荷作りバンドでガチガチに固定する方法がオススメだ。
輪行でのダメージは、主に自転車のパーツが中で動くことに起因する。


これらの保護材は新車についてくるもので、一般には流通していないが、自転車屋さんでお願いすれば分けてくれるだろう。
写真はGIANTの商品を組み立てた際に外したもので、やはり世界ナンバーワンメーカーだけあって、緩衝材も質が高い。

緊急時に活躍するガムテープとダンボールも輪行バッグの中に忍ばせておこう。

持ち込める重量は航空会社や路線によっても異なるため、自転車の重量測定は念入りに行ったほうがいい。
特に帰り道は荷物が増えているので、チェックカウンターでの思わぬ超過で取り乱さないよう、ラゲッジチェッカーを携行するものありだ。

このラゲッジチェッカーはフレームに簡単に引っ掛けることが可能で、普段でも自転車の重量測定に活躍する便利なアイテムだ。
仲間内でバイクの軽さを競い合ってみるのも面白いと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気のトピックス(全期間)

/*追跡スクロール2*/