2014年10月2日

自転車に乗らず「見た目」だけでインプレ記事は書けるのか?

自転車雑誌、自転車店WEBサイトでのインプレ記事は星の数ほどある。
しかし、実際には乗っていない、まして写真と製品カタログだけで書いたインプレはどこまで的中するのか?
こんな誰もやりそうにもない“くだらない”ことに、フィクションサイクルはあえてチャレンジする。

仮想インプレの対象となるのはメリダの「REACTO」だ。
なぜこのバイクかと言うと、店長が乗ったことがないのと、他のインプレ記事を読んでないため、余計な予備知識が入っていないというのが理由だが、単にカッコイイからという事もある。

それっぽい雰囲気を出すため、対談形式での文章にしてみるが、書いているのは店長本人だけだ。
登場人物は架空であり、その昔に某雑誌のインプレに登場していた人たちとはまったく関係がないことを事前に明記しておく。

REACTO CF TEAM(メリダ リアクトCF チーム)新世界チャンピオンを勝ち取った新時代のエアロロード登場

写真http://www.merida.com/en_gb



大石(以下:大)
「いやすごいバイクが来たよね?ちょっと昔ならTTバイクって言われても不思議じゃない」

菊池(以下:菊)
「たしかに見た目のボリューム感はすごいですね。これって重量的にどうなの?って思っちゃう」

大:「そうそう、TTバイクってたしかに平地をぶっとばしたら速いんだけど、登りは苦ってってイメージがある」

菊:「そういう意味ではこのバイクは完全に裏切ってくれたと思う、良い意味で(笑)」

プロ選手のニーズにも対応する高い戦闘力

大:「まず予備知識だけど、このバイクってランプレチームが2014年からメインで使っているんだよね?ツールもこれで走ってた」

菊:「2013年まではもう少し細身のスクルトゥーラを使っていたけど、こっちのほうが剛性があるらしく選手のニーズにかなっているらしいと聞きましたよ」

大:「実は僕もスクルトゥーラに乗ったことあるんだけど、バランスが良くてまさに万能マシンって感じだった。しかも軽量フレームなのに剛性もしっかりあって、けして悪いバイクじゃなかった」

菊:「そのバイクを捨ててまでリアクトが選ばれるってことは、こっちはもっとすごいってことでしょ?」

大:「まあ僕たちみたいなライダーだったら、スクルトゥーラのほうが良い部分もあるだろうけど、ツールを走るようなプロたちにはリアクトのほうが、より正しい選択ってことだね」


カーボン新世代デザイン「脱スローピング時代」の幕開け

菊:「この形状のフレームって現在の最新トレンドっぽいけど、ちょっと前のスローピングフレームはもう時代遅れってことになるんですかね?」

大:「流石にすぐにそんなことになるとは思わないけど、その可能性はあるよね。最初は剛性を高めるようにスローピングが取り入られていったけど、それはアルミフレームの黎明期にスチールのスケルトンじゃダメだっていうんで採用された技術だからね。カーボン時代も10年以上経ってくれば独自のスタイルが生まれてくるんだと思う」

菊:「このバイクもそうですかど、たしかにホリゾンタルでも剛性の弱さなんてまったく感じない。というかむしろ剛性ありすぎでしょこれ?」

大:「僕はそんな剛性がありすぎて困るっていう印象はなかったかな。たしかに踏んだら硬いんだけど、リア周りでうまく調整されているのか、よっぽどの長距離でもなければ、足が踏み負けるってことはなさそうだった」

菊:「自分の軟弱な足じゃダメってことですね(笑)けど言われてみればたしかに踏み負けるってことはなさそうですね。表現が難しいけど、跳ね返されるんじゃなくて、サクサクっと踏んだ力が前に進む力に変換されていくような」

大:「おそらくヘッドや下パイプ、ハンガーあたりの剛性を高くしてあって、トップチューブとバックあたりでバランスを取っているのだろう」


驚異的な軽さを実現したエアロフレーム

菊:「そこまでやって完成車で6.9kgってのは驚異的ですよね、もう少しでUCI規定の下限6.8kgに届いちゃう」

大:「たしかに見た目は重そうに見えるけど軽いよね。フレーム単体では900g以下なんだから技術の進化には驚かされるけど、もっと軽いフレームなんていくらでも作れる時代になったからね、軽さの次に求められるのが剛性とか乗り心地とか、違う方向にシフトする必要性が出てきたわけだ」

菊:「今回試乗したバイクは完成車なんですが、全体のバランスはいかがでしたか?」

大:「フルデュラにフルクラムのディープホイールがついて、これで悪いわけがない!(笑)」

菊:「ですよね(笑)けど自分にはちょっとホイールのチョイスに違和感がありましたね。平地は絶好調なんだけど、登りになるとタイミングがズレるっていうか・・・」

大:「人によってはハイトの高い高剛性ホイールは重さを感じるかもしれないから、C24あたりに履き替えてもう一回やってみたいね」

菊:「このフレームはかなりエアロ形状でしたが、その効果って体感できましたか?」

大:「うーん、正直言って微妙(笑)たしかにあるんだろうけど、ここのコース(修善寺CSC正周り)の最終ストレートで70km/hを超えたくらいでは違いは分からなかった」

菊:「やはりロードレースでも数秒とかの差でしか出てこないものなんでしょうね。反対に横風の影響もそれほど感じなかったし」

大:「つまり、エアロバイクだけど普通のロードレースを走っても何の問題もないってことだよね。神経質になる必要もない」


菊:「この形状のバイクはこれから数年先までのスタンダードになりそうな気もしますが、細かい部分についてはどうでしょう?」

大:「個人的に一番気に入ったのはシートポスト」

菊:「え、そこですか?(笑)たしかに良く見ると衝撃吸収のための構造など、かなり凝った作りをしているようですが」

大:「あのね、僕はISP(インテグラルシートポスト)が嫌いなの(笑)なんでかっていうと、あれ調整幅が狭いし、カットしたらそれで終わりでしょ?そりゃ機材に不自由しないプロは別だけど、普通のユーザーは購入したら数年は乗るわけだし、その期間でシート高が大きく変化することが絶対に無いとは言い切れない」

菊:「あー、たしかにありますね。試乗企画でもあれライダー泣かせですもんね(笑)」

大:「うん、だからこういった合理的な工作は歓迎すべき点だと思う」

菊:「先日発表されたばかりの『アンカー(ANCHOR)RT9』や「キャニオン」もかなりこれに近い形状ですからね、今後はさらにこの流れは加速しそうですね。ちなみにメリダのリアクトCFチームは完成車で76万1905円(税抜)、フレームセットで28万4762円(税抜)という価格ですが、ズバリ買いでしょうか?

大:「世界チャンピオンが駆るフレームと同じもの(正確にはプロト)が28万円で手に入るってのは破格でしょ。そもそもメリダの価格設定はかなり良心的だし、完成車のアッセンブルも悪くない」

菊:「ワイヤーも完全にフレーム内蔵だからDi2にもワイヤー式にも完璧に対応してくれるのは嬉しいですね。見た目も次世代を感じさせるデザインで僕も物欲ビーム出っ放しです(笑)」

以上


インプレライダー紹介

大石陽平:1974年生れ/神奈川県出身
元証券マンであり健康作りのためにロードに
乗り始めるという過去を持つ。
愛車はボルボ。40歳にして異常な若さを誇って
おり、その思考回路は現役大学生並み。


菊池有飛(ゆうひ):1981年生まれ/東京都出身
大学時代にワンダーフォーゲル部に所属しながらも
IT関係に就職するという異色の経歴の持ち主。
大石陽平の薦めもあり、ロードレーサーを購入。
初参加したビギナーレース10kmをいきなり完走する。




答え:カタログだけでインプレ風の記事は書ける

しかし内容はカタログを読んでイメージだけで書いたものなので、実際にどうなのかは分からない。
文体も90年代の記憶に基づいたものだ。
自分でこんな記事を書いてて言うのもなんだが、世の中には「良いものを良いもの」逆に「悪いものを悪いもの」と素直に書いていないものも多くある。
特にインターネットのレビューなどは、さまざまな事情によりバイアスがかかっているものが中にはあることを忘れてはならない。
確実なのは、自分の目と足で確かめることだし、そのための知識と見抜く力を養うべきだと思う。

そしてひとつだけ、インプレ風な内容を書いていて発見したことがある。
・「良いこと」は乗らなくても書きやすい
・「悪いこと」は乗らないと書きにくい

良いことはカタログにも書いてあるので特徴がイメージしやすいのだが、ウイークポイントはしっかり乗って弱点を洗い出さなければ指摘することは難しい。
ウイークポントがしっかり書いてあるインプレというのは、それだけそのバイクに対して真面目に向き合った証拠なのだろう。

それでは次回は実際に試乗してのインプレを書きたいと思う。
誰かリアクトを貸してくれれば・・・の話ではあるが。

ご注意!
このインプレはイメージだけで書かれた仮想のものです。
実際とは違う内容や、誤った部分が含まれている可能性があります。
またこの仮想インプレの執筆後に実際のリアクトの試走を行っておりますが、横風の影響は一般フレームより大きく受ける傾向にあることを確認済みです。

REACTO CF TEAM(メリダ リアクトCF チーム)実車インプレ

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