機材は求める性能によって人それぞれ向かう方向がまったく違うが、サングラスはその時の流行など、どの自転車競技やタウンユースにおいても、ある程度は共通した商品に人気が集まりやすい。
特にファッションアイテムとしての意味合いの強いサングラスは、有名人やプロ選手の使用がそのまま市場に反映しやすいため、歴代の流行サングラスも、それ単体を見るだけで使用していた選手が思い浮かぶのではないだろうか?
脳裏に焼き付くサングラスのイメージ
たとえばこの有名な写真。1994年のジロ・デ・イタリアでマリアローザを着たロシアの金狼エフゲニー・ベルツィンが王者インデュラインに食らい付くワンシーン。
彼らが使用しているのはBolleのマイクロエッジだ。
今では当たり前の風貌ではあるが、当時サングラスは自転車においてミスマッチな存在であった。
しかし彼らがヘルメットより優先してサングラスを装着しているといことは、ファッション性よりも機能性を重視していたからに違いない。
自転車レース界にサングラスを普及させた第一人者はあのグレック・レモンだろう。
残念ながら、それまでサングラスの代名詞的存在であったヘリー・クネットマン(ゲイリー・クネッテマン)やファウスト・コッピは全体の普及までには貢献していない。
(特にクネットマンは表彰台でも眼鏡をかけていることから、度入りサングラスを常用していたのではないかと思われる)
1950年代のコッピと1970年代のクネットマン
オークリー「アイシェード」を使用する1980年代後半のレモン
サングラスを自転車のマストアイテムにまで押し上げたのはレモンの活躍とオークリーの戦略的なプロモーション活動によるものだ。
その後は各メーカーがオークリーに追従するかたちでプロ選手へのサポートを開始し、一気にサングラスは自転車乗りにとって身近な存在となっていく。
キアプッチやパンターニが愛用したブリコ「スティンガー」やインデュラインやウルリッヒのルディプロジェクトなど、またMTB界でもヘルボルトやトマックらによって、サングラスはファッションアイテムとしても洗練されたものとなる。
次々と生まれる次世代ブランドの数々
いまやオークリーは自転車用だけでなく、スポーツ用ならなんでも来いといった人気ブランドではあるが、ツールなどの最先端のシーンに目をやれば、初めて見かけるようなカッコ良いサングラスも多く登場している。日本への入荷量が少なく、なかなか入手は困難であるが、スウェーデンの「POC」やイタリアの「SALICE」など、すでにチェックしている人も多いのではないだろうか?
これらは非常にカッコ良いし、プロが使っているのを見て、自分も欲しい・・・
と思うのは当たり前のことだ。
しかし、実際に手元に届いていざ鏡の前に立ってみると・・・
あれ?イメージと全然違う・・・
自分の顔にフィットしない・・・
というギャップに遭遇した覚えはないだろうか?
主に欧米人用にデザインされたサングラスは、サイズや形状は日本人の顔にフィットしないという問題が度々生じるのだ。
そこでオススメなのが、日本人用にフィティングされたサングラスだ。
国内メーカーのものや、アジアンフィット用のノーズパッドに交換できるものがいいだろう。
中でも、今回紹介するシマノ製のサングラスはデザインを含めてなかなかの意欲作だと感じている。
SHIMANO「CE-S22X」
しかしサングラスブランドといしては新興メーカーのシマノのアイウエアラインナップは、カラーやデザインが結構良い感じなのである。
そして最大のポイントはバランスの良い価格にある。
エントリーモデルである「Xシリーズ」はCE-S41Xが7,000円、CE-S22Xが5,000円(税抜)と、従来の標準的価格の半分以下となっている。
しかしレンズはミラー仕上げとなっていて、安い商品にありがちな色ムラや歪みはまったく無い。
サングラスはシーンに応じてレンズを使い分けるのがセオリーであり、カラーチョイスも可能なことから、フィクションサイクル的には「サングラスは数で勝負」というのがポリシーだ。
3万円のサングラスを一つだけ持つよりは、1万円のサングラス三つのほうが使い勝手が良い。
最新トレンドは蛍光カラー
蛍光カラーといえば、80年代末期から90年代にかけて流行った印象が強いが、今はサイクルが一巡してまた強い人気を博している。比較的に地味で無難な路線のシマノが、このサングラスに蛍光カラーを投入してきたのは、廉価版だからこそのチャレンジだろう。
モデルはフィクションサイクルのインプレコーナーでもお馴染みのサイクリストの池原氏だ。
年齢、性別問わずにフィットする万能サングラス
もちろん女の子がかけても蛍光カラーはよく似合う。今回モデルをお願いしたのは、フィクションサイクルの新人スタッフのカナちゃん。
まだ自転車歴は浅いが、オレンジのシューズとのコーディネートが上級者の雰囲気を醸し出している。
SIDIのオレンジシューズとの相性もバッチリだ。
他にも先日一緒にお仕事をさせて頂いた、某自転車雑誌の編集の女の子が普段着でこのサングラスのオレンジをかけていたのが印象に強く残っているが、もしかしたら業界内でもジワジワと人気が広がっているのかもしれない。
幅広いシーンに対応する程よいミラーレンズ
もちろんフィクションサイクル店長もCE-S22Xの愛用者だ。普段はオークリーメインではあるが、最近シマノサングラスの出番が多くなってきている。
理由としては、安いからラフに扱えるという部分が大きいのだが、適当に取り扱ってもレンズに傷も付き難く、品質的にも満足のいくものだ。
チョイスしたレンズカラーは「スモークオレンジミラー」で薄いミラー効果ながら、レーシーな雰囲気は十分だ。
また、スモークもそれほど濃くないため、日中から夕方くらいまでなら問題なく着用したままで大丈夫だ。
梱包は簡素で、ハードケースの類は附属しない。
中身は本体とシマノロゴ入りのソフト布の巾着袋と取り扱い説明書となっている。
自転車入門者や、ウエアやバイクによってサングラスを交換したいライダーにとって、このシリーズのチョイスは大いにアリだと思う。
価格という部分でアイウエアを身近な存在に近づけたシマノの一手は、今後他のメーカーの動きにも影響するだろう。
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